芸人 山野純三 (純) 体験版
【まえがき】
※[ご注意ください]
【あらすじ】
最初は康雄(こうゆう)の邪な思いから始まった。しかし、康雄は純三に魅かれ、その想いはすぐに真剣で一途なものとなっていく。純三を独占することよりも、純三が幸せになることを願う。そんな、恋愛感情の初めての形を認識しながら、純三を愛し、純三とその家族の幸せを願う康雄。
純三は康雄とのやり取りの中で、気持ち良くて仕方のない自分の身体に気付かされ、次々と開発されてゆく。そして、そこに康雄の変わらぬ愛を見つけ、康雄を愛する自分にも気付いてゆく。
幾つかの出来事を経ながら、深い絆と愛情を育んでいく康雄と純三の出会いからの半生を、双方の視点から描いた作品の純三視点バージョンです。
【主な登場人物】
僕は芸人をやっている。本音を言うと、自分は芸人には向いていないと分かっている。
小さい頃から引っ込み思案な僕は、自分をうまく晒け出していくことができずに、常に周りに押し切られ、いや、そもそも自分は押すことすらできていなかったから、周りから言われるがままに生きてきた。
僕の道はごく普通に大学を出て、就職。それも公務員の、中でも定型作業で済むような仕事を定年までコツコツと働いて隠居する、みたいなものと決まっていた。
僕の夢は、小さなことにくよくよせずにガハハと笑い飛ばしながら生きていくことだ。
大学を卒業するときにこのまま日陰でじっと
周りの人にとってはあまりにも突飛な行動に映ったのだろう、特に安定を望んでいる両親は激怒し、勘当同然となった。
家を飛び出すように東京へ出て、一人暮らしを始めるとすぐに、自分の考えが甘かったということを嫌と言うほど思い知らされた。
そもそも芸人に全く向かない、むしろ正反対とも言える性格。これは、でも、自分が直したいと思っていた部分でもあり、いわゆるショック療法的な手段として芸人という道を選択したということでもあるから、この点で苦労するのは最初から目に見えていたし、覚悟していた。
しかし、日常の生活がこんなにも困難になって行くということについては、僕の認識が甘過ぎたと言わざるを得なかった。
生活をするなら、稼がなければならない。芸人としては全く稼げていない。稽古したり芸を披露したりする時間はバイトもできない。ライブなど芸を披露する機会を設けようとするたびに赤字決算となり、自分の懐から持ち出さざるをえない。
若い頃はそれでも普通に頑張り続けることができた。いわゆる、夢を持って生きていたと言える。しかし、3年が経ち、5年が経ち、10年も経とうとなると、夢も目的も目標も見失っていることが多く、また、疲れが溜まって抜けなくなっていった。
食うことにすら不自由したから、食える時に食える物は食えるだけ食っておかないと生きていけなかった。食生活は乱れきり、絶食と暴食を繰り返すような日々で、僕の身体は着実に太っていった。
生活は困窮を極め、徐々に借金が膨らんでいった。足腰にガタが来て、酷いときにはろくに歩くことすらできなかった。健康保険に入るお金も無いし、病院に行くお金も無い。
積み重なるマイナスだらけの日々にいったいいつまで耐えられるのか、いや、もうとっくに限界を迎えていたのかもしれない。
そんなとき、僕に一つの救いの手が差し伸べられた。テレビ番組のレギュラーだった。
どうして僕を採用してくれたのかは全く分からなかったが、僕にとっては唯一で最後のチャンスだった。
僕はとにかく一所懸命に頑張った。チャンスを活かしたいというだけではない。マイナスしかなかった僕の芸人人生にプラスを与えてくれた恩を感じていたんだ。
番組出演が始まってから2ヶ月後には別の番組からもオファーの声が掛かるようになった。
僕に山積していたマイナスが少しずつ取り払われていった。まだ、決して楽な生活になったわけではなかったけれど、食うにも困るという状況は回避できるようになった。ちゃんと食えるようになると、ガタガタだった足腰も徐々に調子を取り戻してきた。やはり、栄養状態が悪かったのであろう。
でも、太った身体だけは元に戻るどころかますます大きくなってしまい、ついこの間体重計に乗ったときには130kgを超えてしまっていた。元々大きいサイズの服を着ていたから、着れなくなった服はそれほど多くはなかったけれど、どの服を着ても、どの部分もパツンパツンで窮屈になってしまった。
何回か、打ち上げみたいな形で番組関係者と飲み会をしていた。
酔ってくると、僕は
そんな飲みの席の会話の中で、僕を番組に引き入れてくれたのはディレクターの山那さんであることが分かった。
山那さんは僕を窮地から救ってくれた恩人であるだけでなく、いつも僕に対して的確なアドバイスをしてくれる、先生のような存在でもあった。
僕はこの人とずっと一緒に仕事がしたいと思っていた。
番組に出始めてから半年ほど経ったある日、僕は山那さんから呼び出しを受けた。
重要な話があるとのことで、マネージャー抜きに一人で来てくれということだった。
仕事場で話をするのかと思ったら、とあるホテルの一室に来るように指定された。
僕は正直、不安だった。仕事場ですら話せないような重要な話っていったい……。
約束の時間のほんの僅か前の頃合いを見計らって、ドアをノックする。
「山那さん。山野です。山野純三です」
扉が開かれて、招き入れられた。
「おはようございます」
不安で辺りをキョロキョロと見回してしまう。こういうのを『キョドる』って言うんだろうな。
「まぁ、とりあえず座ってくれ。ちょっと飲まないか。腹を割った話がしたいんだ」
「はい……、失礼します」
促されて、僕はベッド脇に置いてあった一人掛けのソファに座った。
ここ最近は一人用の椅子が窮屈に感じる。椅子の方は『それはこっちの台詞だ』と言わんばかりに、
山那さんは手際よく水割りを作ると僕に差し出してくれた。
こういうのは僕の方がやらなきゃいけないのにと思いながら、
「い、いただきます」
緊張もあるし、重要な話に対する不安もある。僕はリラックスすることができずに、ついつい、飲むペースを速めてしまう。
……でも、なかなか本題が出てこない。
募る不安の中、酔った勢いの力を借りて、思い切って僕の方から切り出した。
「で、あの……重要な話って……なんですか?」
具体的な不安を思い浮かべていたわけではないけれど、不安の予感は的中していた。
「実はな、おまえ最近ちょっと調子悪いだろ。正直ちょっと飽きられてきてるんじゃないかと思ってな。他の奴らも『飽きてきた』とか抜かすんだよ。俺も、まあ……、正直そう思う。だから、この番組のレギュラーもそろそろ考えなきゃいけない時期かなと思っているんだ」
ガツンと来た。目の前が真っ暗になり、瞬時にあの生き地獄のような日々への逆戻りがイメージされる。でも、そんな頭の中とは別に、僕は即座に言葉を吐き出していた。
「そんな! 僕、なんとか頑張りますから使ってください!」
本来の僕だったら、多分、言われたことを冷静に理解して、自分は至らなかったと反省して、身を退いてしまったと思う。
酔いのせいもあるのかも知れないけれど、……いや、そんなことはない。僕は何よりもこの仕事を続けたい一心で、山那さんの仕事を続けたい一心で、だから、あんなに
普段は気恥かしくて、なかなか人の目を直視することができない僕だったけど、この言葉の真剣さだけはどうしても伝えたくて、山那さんを直視し、見詰め続けた。
「そう言われてもな……」
山那さんの方がふっと目を外し、そう言って口を閉ざしてしまった。
僕の頑張りが足りていなかったんだ。僕は今まで以上にもっともっと頑張ります。だから、なんとか……仕事を続けさせてください!
やや経って、沈黙を破った山那さんの言葉は突拍子もないものだった。
「ところで、この業界って女優やアイドルが仕事を取るために男と寝るって話を良く聞くよな?」
正直、それまでとの話題の繋がりが分からなくて、面食らってしまった。でも、とりあえず話を返さないと。
「……あぁ、枕営業ってやつですか、良く言いますよね。本当にあるのかどうか知りませんけど」
「本当にあるとしたら、おまえはどうする?」
僕には山那さんの発言の真意がさっぱり掴めなかった。だから、生返事しか返せない。でも、
「どうするも何も、僕には関係の無いことでしょうし、どうしようもないっすよ。……ぇえ?」
ど、どういうことですか、山那さん? 僕に枕営業をしろって言っているんですか?
山那さんの手が僕の肩に置かれる。
「どうしてここに呼び出したか、分かるだろ?」
ホテルへの、一人での呼び出し。不思議に思っていたことが全て、ここで合点がいってしまった。
気が動転する。心臓がバクバク言い出した。自分の鼓動の音が
「ぼ、僕がですか……」
山那さんは無言で
「でも、……どうすれば……」
声が震える。
「まずは、服を脱いでみたらどうだ」
正直、今ここで僕が山那さんを相手に枕営業をするということと、番組への出演の存続がどのように繋がっているのか、僕にはさっぱり分からなかった。
でも、この仕事を続けさせてもらうために、今、僕ができることは、山那さんの言うとおりに服を脱ぐことだけなのだろう。
僕にはその先がどうなるか全く分からなかった。不安で震えているのが自分でも分かる。でも、……覚悟を決めなきゃ。
僕は服を脱ぎ始めた。最後の最後まで脱ぐのは恥しかったけど、脱がないと仕事は続けられない。
「大丈夫だ、悪いようにはしない。君はただ俺に委ねてくれていれば良いんだ」
山那さんは全裸になった僕の背中に手を回し、僕の身体をベッドへと向かわせた。導かれるままにベッドに乗り上げ、中央まで来ると身体の向きを反転させられて、座らされた。そこから山那さんは僕の上体を押し倒していく。
僕はただただ、この先の不安で一杯だったし、緊張していた。
僕は身体を撫で回されたり、肉を
僕はこれから、女みたいに抱かれたりするのだろうか?
愛撫の手が内股や下腹部にまで伸びると、緊張の中にもなんだか少しムラムラと来るような感覚が芽生え始めていた。
そして、ついに直接、僕の陰部に触れられる。優しく揉みしだかれる。
僕は一応、男だ。でも、同じ男である山那さんにこんな風に優しくされて、女が抱かれ始めるときの気持ちをほんの少し垣間見たような気がした。
少しずつ、僕の中心部は求愛に答えて頭をもたげていく。は、……恥ずかしい。
「うぁっ」
急に手の愛撫の感触とは別の包まれるような暖かさと同時に、僕の敏感な部分をツルッとなにかがなぞって、僕は思わず声を上げてしまった。
それが、何をされたのかはすぐに分かった。でも、正直、僕がこんなことをされたのは、これが初めてのことだった。
僕は奥手で、僕の初体験は25歳のとき、今の彼女とだった。彼女とはそれから約8年もの間連れ添っているが、性に対して余り積極的とは言えなかった。だから、彼女を抱くときに、しゃぶられるなんてことはなかった。
それに、僕の方が暮らしに
先輩に連れられて風俗に行ったこともある。でも、そこでもそんなディープなことをするような場所ではなく、普通にローションを使って手で扱かれるという程度のプレイしか経験が無かった。
それまでの僕の一番ディープな性体験といえば、やはり先輩に連れられて行った風俗で、アナル性感プレイといって、指を尻の穴に入れられて、おもちゃを入れられて、
僕は初めての感覚に素直に感じて悦びの声を上げてしまった自分が恥ずかしくて、目を開けられなかった。心拍数が高まっているのが自分でも分かる。そして、
でも、そんな僕にはお構いなしに次から次へと快感の波は押し寄せてきた。
まるで、僕の感じるところは全て見通されているからのようにじゃぶられ、
「んんっ」「んはっ」「くううっ」
僕の身体は快感に踊らされ始めていた。
僕は山を登らされていた、しかも、自分の意思とは関係なく追い風に後押しされて、どんどんと登って行く。息が上がる。でも、湧き上がる快感に声を抑えられない。
「っうぅ。むう!」
こんなに気持ち良いなんて、僕は僕がこんなに気持ち良いなんて思ったことがなかった。
僕、……僕、……気持ち良い!
僕はまだ自分の中に僅かに残る恥ずかしさから、たまたま手元にあったタオルを口に噛んで
でも、もう、抑えることなんて僕にとってはとっくに無理なことだった。
「んう」「ぐふっ」「んああぁ」
僕の身体も、僕の頭の中も、『気持ち良い』で埋め尽くされて、一杯になって行く。
ああ、気持ち良い、気持ち良い、気持ち良い、気持ち良い、気持ち良い……。
頂上が見えてきて、いよいよ僕は引き返せないところにまで来てしまったことを悟らされる。
僕の身体の中に潜むマグマが、今まさに噴火せんとして、噴火口を目掛けてグングンと込み上げてくる。
「ぁあっ、っもうっ、っあかん!」
僕の火山は噴火の前触れを予告するかのように、一段と大きく膨れ上がる。
それが、
とても堪えられない! 我慢できない!
「ぐあああっ!! ……っく、……っく、ぐぅ……」
抑えられていた火山口の堆積物を全て吹き飛ばして、ロケット噴射のような勢いでマグマは飛び散った。
邪魔者を吹き飛ばすと、満足気に心行くまでマグマは湧き、流れ続けた。
僕はかつてこんなに感動的な射精をしたことがなかった。
あまりの気持ち良さに呆然としてしまって、ぼんやりぼやけた部屋の天井が妙に記憶に残っている。
33歳にもなって、新しい自分を見せ付けられた。こんなことってあるんだ……。
「まだまだだぞ。三発出すまで許してやらねぇ」
(こちらは体験版です)
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芸人 山野純三 (純)
OpusNo. | Novel-008 |
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ReleaseDate | 2014-11-01 |
CopyRight © | 山牧田 湧進 |
& Author | (Yamakida Yuushin) |
Circle | Gradual Improvement |
URL | gi.dodoit.info |
個人で楽しんでいただく作品です。
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(こちらは体験版です)
【デジケット限定パック】芸人 山野純三(康純セット) - DiGiket.com