腹パンドランカー 体験版

Cover


【まえがき】


※[ご注意ください]



【あらすじ】


 クルーザー級の元プロボクサー納米 護(なごめ まもる)は対戦の多かった同年代同階級の神山と共同で片田舎のジムを細々と経営している。

 減量する必要が無くなってから筋肉も贅肉もボコボコに増えた納米は既にボクサーの面影を無くして久しいが、当時は特にボディのガードが上手く『鉄壁のまもる』と呼ばれたこともあった。

 そんな納米がある日、ちょっとした不注意でガキんちょから一発ボディに食らってしまう。

 しかし、狙いもへったくれも無い小さいガキんちょの適当なパンチは通常ボクサーが狙うことのないような場所をヒットしてしまい、納米の身体には得も言われぬ鋭い感覚が響き渡った。


 その感覚が気になって仕方が無い納米は仕事終わりを引き返して、再現をしてみようとグローブを並べてジムのリングで自分の腹を殴る。

 ところが、その一部始終を別れたはずの神山に見られていて……


【目次】


表紙

まえがき

あらすじ

第1章 鉄壁の護

第2章 良いのをもらってしまう

第3章 腹パン射精

第4章 ハメパン

奥付

第1章 鉄壁の護

 片田舎の寂れたジムで、ベンチに座る一人の男が両膝に両腕を付いて俯いていた。


 なんか俺、道を誤っていたんじゃないか……?


 いや、別に今がそんなに悪いとは、そんなふうには思わない。多くを望むつもりも無い。

 でも俺、自分がこんなに肉付き易い体質だったとは、知らなかったからなあ。

 現役を退いて、減量する必要が無くなって、食べる物を我慢する必要が無くなって、日に日に膨らむ毎日。

 試しに、絞るための筋トレじゃなくて、筋肥大のための筋トレやったらボコボコになって。

 その変化が面白くて調子に乗って続けていたら、気が付いたときには元ボクサーとはとても思えないモコモコのオークになってた。


 いやいや、ボクシングにだってヘビー級という上限の無い階級があるわけだし、バタービーン(Eric scott Esch)みたいなのも居る(た)わけだし。

 別に『元ボクサーです』って胸張って言えるさ今でも。信じてもらえるかどうかは別にして。

 でも、ボクシングをやったことに関しては後悔はしないとしても、無理に減量するクルーザー級に収まらないで、ヘビー級でやっても良かったんじゃないかな。

 当時は師事していたトレーナーの言うことを素直に聞いて、一所懸命体重抑えていたけど。

 俺の力量ではヘビー級は無理、って見抜かれていたのかなあ?


「なんだなんだこのデカい置物は?」

 背後から腐れ縁の声が近づいて来る。

 お互いにタイトルを争えるほどの実力ではなかったのに、妙に対戦することが多くて……、要するに同年代の同階級の同レベルな(だった)のだが、こいつはまだ現役当時の体型をほぼ維持できていて、それでもボクサーのイメージからするとバカでかい部類なのだろうが、まあちょいと動きさえすれば一発で信じてもらえるレベルだ。


「ほらさっさと開ける準備しろよ。もう表にガキんちょが待ってるぞ」

「え、うそ? だってまだ全然時間前じゃないか」

「やりたい盛りなんだろ。待ち切れないほど面白い、ってとこなんじゃないか?」

「うへえ、ただでさえ営業時間長いんだから、時間外は勘弁して欲しいんだけどなぁ」

「閑古鳥になるよりマシだろ? 適当にでも良いから、相手してやれよ」

「おうおう、分かったよ。はいはい、今開けますよ~」


 男がジムを開けるために出入り口へと向かうと、解錠と同時に男の子が勢い良く飛び込んで来た。

 男はこの子の相手をするためにミットを両腕に嵌めて、リングへと上った。

 その子はまだ練習と言えるほどの段階にも達していなくて、ただただ闇雲に拳を振り回している。

 まだ小さいこともあって、その様子は元気にまかせてとにかくしつこく絡んでくるガキんちょそのものだ。

 男はそれを軽妙にいなし……、ているつもりだったのかもしれないが、眠気の残る起き抜けの気怠さが如実に表れていた。

 それでも、いくら手数が多くとも絶対的にリーチの短いガキんちょの雑なパンチなど、両腕に嵌めた大きめミットをでんと揃えてやれば完璧にブロックできる。


 ……のだが、男は少々、気も手も抜き過ぎた。

 小さな子に高さを合わせるために大きく身を屈ませる必要があったのだが、棒立ちになってしまっていた。

 それに、きちんと揃えなければいけないミットも、楽に伸ばした腕と腕の中間に大きな隙間が生じてしまっていた。


 そこに飛び込んだ大上段から振り下ろすような、ただの喧嘩のようなパンチ。

 寝ぼけ眼で反応の遅れた男はそのパンチをもろに食らってしまった。

「のわあっっ!?


 もろに食らったといっても、まだ本当にガキんちょの適当なパンチ。

 まともに食らったところで、この男の豪勢な肉体ではダメージなど皆無に等しかったのだが、男の中には何か特別な鋭い感覚が響き渡って、男は一瞬にして目が覚めた。

 それから、ガキんちょのパンチを食らうことは二度と無かった。




「よっし、上がろうぜごめ

「あ、あぁ」

 その日の営業を終えて、腐れ縁で共同経営を続けているこうやまに掛けられた声に、納米は生返事で答えた。


「なあ、どっかで晩飯食わねえか?」

「……あ? あぁ」

 納米は今日一日中、ずっとあのときの感覚が忘れられないでいた。

 神山の誘いにも上の空である。


 神山も、納米の様子がいつもと違うことに気付いていたらしい。

「なんか、今日のお前ずっと変だぞ?」

「そ、そうか?」

「あれか? 『鉄壁のまもる』があんなガキんちょのパンチ食らって、それで凹んでんのか?」

 神山のこの言葉で、ここまでずっと生返事を繰り返していた納米が急に鋭く反応した。

「あ! お、お、俺、今日、用事があったんだったわ。済まんが飯はまた今度な。それじゃ、また明日!」

 言うなり納米はきびすを返して、神山と歩を進めていた道を足早に引き返して行ってしまった。


 神山が『鉄壁のまもる』と呼んだ納米 護(なごめ まもる)は防御に定評のあるボクサーだった。

 特にボディのガードが鉄壁で、神山はずっと納米を打ち崩せなかった。

 そんな納米が、寝ぼけ眼とはいえ、ガキんちょ如きにボディに一発もらってしまうなんてことは、神山にとってもちょっとした事件だったので、神山も覚えていたのだ。

 だが、そのことを口にした途端、納米はあっと言う間に神山の目の前から消えてしまった。

 よほど図星だったのか、それとも……?


(こちらは体験版です)

第2章 良いのをもらってしまう


(こちらは体験版です)

第3章 腹パン射精


(こちらは体験版です)

第4章 ハメパン


(こちらは体験版です)


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腹パンドランカー


OpusNo.Novel-072
ReleaseDate2020-12-08
CopyRight ©山牧田 湧進
& Author(Yamakida Yuushin)
CircleGradual Improvement
URLgi.dodoit.info


個人で楽しんでいただく作品です。

個人の使用範疇を超える無断転載やコピー、
共有、アップロード等はしないでください。

(こちらは体験版です)

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