成長 体験版
【まえがき】
※[ご注意ください]
【あらすじ】
日々成長することが当たり前だと思っていても、著しい成長と思いもよらぬ変化に付いて行けず、翻弄されてしまう時期がある。
第二次性徴。
変貌、もしくは変体と呼んでも良いほどの肉体の変化は勢い盛りの若い精神に剥き身の大人の性を与えてしまう。
大河庚太も、例に漏れずその洗礼を受けた一人だった。
とりわけ成長が早く、飛び抜けて筋肉量の多い巨体を持つ大河は既に大人を超えた肉体を持っていたが、そんな優れた肉体に花開いてしまった精力はまた、とてつもない化け物であった。
限度を知らない射精欲とめくるめく性感とが大河を翻弄し、常に
大河の日常は疼きへの対処の連続と様変わりしてしまい、有無を言わさず、大河はその道のエキスパートにならざるを得なかった。
そんな近頃の大河の最大の敵は『授業』だった。
射精できる機会を奪われた長時間の拘束。
それが今現在の大河を最も苦しめるものとなってしまっていた。
そして、どうしても耐えることができなかった今日、また、大河は射精欲に屈して授業中に教室を抜け出す決断をしてしまうのだった。
【主な登場人物】
大河は一人、そっと真っ直ぐ手を上げた。
丁寧な朱書き解説がたんまりと挿入されていて、それを直接生徒に配ってあげれば良いのにと思うような豪華な大判の教員専用教科用図書を読み上げている先生はそれに気が付かなかった。
「……先生……」
大河はためらいながらも、絞り出すようにぼそっと小さく、しかし、既に声変わりも終えた野太く低い声を上げた。
最後列で発せられたノイズのような微かな音声はそれでも、『Sensei』というワードにはとりわけ敏感に反応してくれる、最前列よりもさらにその前に立っている先生の耳にまで届いた。
「どうした?」
先生が問い掛ける。
名前を呼ばないのは、他の生徒の注目をなるべく集めないためか。あるいは、授業の中断を最小限に抑えるための配慮だろうか。
「あの、トイレ……」
とりわけ良く育っている大河は、俯き加減のほんのり赤らんだ顔でもじもじとした消極的な物言いとは対象的に、肩幅が大きく背筋もピンと伸びていて最後列に居てもやたらと存在感がデカい。
「なんだ、休み時間の間にちゃんと行っとけよ。良いぞ、行って来い」
椅子を下げるガタガタ音だけはどうしても出てしまうが、極力静かに、最低限通れるだけ扉を開けると、大河は吹き抜ける風のようにスルリと教室を出た。
何事も無かったかのようにスーッと扉を閉めると、大河は忍び足のまま、誰も居ない廊下を全速でダッシュした。
休み時間、って言われたって、まだ一時間目なのに……。
大河の頭にはそんな文句も浮かんだが、なにもそれは先生に向けた文句ばかりとは限らなかった。
僕だって、こんなことにならないようにと、ちゃんと朝から準備してきたつもりなんだ。なのに、こんな……。
一時間目後の休み時間まですら持たないとか……。
(こちらは体験版です)
成長
OpusNo. | Novel-064 |
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ReleaseDate | 2020-01-26 |
CopyRight © | 山牧田 湧進 |
& Author | (Yamakida Yuushin) |
Circle | Gradual Improvement |
URL | gi.dodoit.info |
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(こちらは体験版です)