過敏性超早漏症候群 体験版
【まえがき】
※[ご注意ください]
【あらすじ】
小さな過疎島で唯一の若者である真べえは来春、島を出ることになっている。
そんな、新たな世界に思いを馳せる真べえの目下の悩みは『早漏』だった。
島に適齢の相手が居ない真べえは、島を出たら『オナゴ』とデキる、と、大きな期待にあそこを膨らませてもいたが、それ以前に、今のままではまともに『オナゴ』とデキない自分に悩み、切羽詰まっていよいよ、歳が一番近く、島に一つきりの診療所を営んでいた俺を、島で唯一この手の相談ができる相手として頼ってきたのだった。
真べえを『美味しそう』という目で見る俺に突然舞い込んだ、若人の性のお悩み相談。
俺の頭に『お医者さんごっこ』のイメージが大手を振って横切っていく。
しかし、真べえの『早漏』はごっこで済ませるには少しばかり重症だった。
触れるとほぼ同時に暴発し、俺の顔も含めてあらゆるところに飛び散らかす暴君。
ド派手な射精を繰り返しながらも、焦り慌てるばかりで気持ち良さをあまり分かっていなかった真べえ。
俺は『早漏』そのものよりも、気持ち良さをちゃんと知らない真べえを勿体無く思い、早漏改善の手助けを買って出た。
島を出るその前日まで、一日も欠かさなかった真べえの診療所通い。
毎日4,5発の積み重ねはやがて、1,000を超え、そして最終日、遂に俺も一線を……。
ここのところ穏やかな過ごしやすい気候が続いているおかげか、そよ風に揺らぐ緑鮮やかな草木をのんびりと眺めていられるほど余裕がある。
ま、うちみたいな小さな過疎島に一軒きりの診療所じゃあ、忙しいことのほうが珍しいんだけども。
今日は予約も終わってるし、外来ももう来ないだろうし、ちっと早いけど閉めちゃおうかな。
急を要するときは時間構わずなんだし、こんなときくらい、早めに閉めても何も問題無かろう。
なんとなく、まだ夕日のような赤みすら少しも差していないような気がするけれどまあ良いや。
今日はもうおしまい!
そうして、片付けを始めていると、背後から人の気配がした。
「ぁ、あの……」
俺は
というのも、抑えていながらにして張りのある若々しいその声は、この島でこの診療所とは一番縁遠い存在である島唯一の未成年、ではなくなったんだっけ? まだ変わってないか、18歳になりたての若者、真べえのものだったからだ。
「おう!? 真べえ、どうした? 珍しいな」
「あの、ちょっと……良いですか?」
「おう、入れ入れ!」
俺は気が早いことに真っ先に消していた蛍光灯を点け直した。
通称『真べえ』、本名『真(まこと)』。
何で読みが変わるのか、短くなってるわけでもないのに通称の方がまかり通っているのか、定かじゃないが、一説には幼少期の頃の雰囲気が忍者のたまごのアニメに出てくる『○んべヱ』に似ていたからとも言われ、……特に言われているわけではなくて、俺が勝手にそう思っているだけだが。
そんな真べえも齢18になり、身体は大人以上に大きくに成長して(心は少年のまま)、来春には島を出ることになっている。
島内でこんな活気と肉気に溢れた若者は彼以外居なく、そのオーラは単純に放熱現象かもしれないが、先程声を掛けられる直前に気配が感じられたことからも分かるように、非常に大きな存在感がある。
俺自身はもう若いと言うには少々無理のある年齢に差し掛かってしまっているような気がするのだが、何を隠そう、この真べえが島を出てしまうと、島内最年少はこの俺になってしまう。
要するに、真べえからすると、一番歳の近い島の人間が俺になるわけだ。
俺は島のお兄ちゃんなのだ。
真べえはそのデカい図体からは考えられないほど、おずおずと遠慮がちに入ってきたわけだが、残念ながら、余りある肉にまではその遠慮が行き渡らない。
なにせ、真べえは島唯一の子供だ(った)からして、親御さんのみならず、島全体に可愛がられてきた。し、実際に可愛い。
んだもんだから、栄養が行き届き過ぎちゃってて、それでこんな肉岩になっているわけだが、それでも、真べえはただの肥満体ってわけではない。
最近では、近所でもクルマを使う田舎人の方が運動不足なんていう話もあったりするが、真べえはまだ免許を持っていないし、そもそも、この島ではクルマ移動が余り便利ではない。
物資の運搬、要するに軽トラは重宝されるが、人単体の移動はぶっちゃけ徒歩か走るかした方が速いことの方が多い。
真べえも自力で島中を転げ回る半野生児なわけで、一昔前だったら健康優良児として表彰されていそうな立派な健康体だ。
だからして、真べえはここ診療所とは最も関係無さそうな人間ではあるのだが。
「どした? どっか具合でも悪いか?」
全くそんなふうには見えないけどな。
まぁ、肌つやは良いし、血色も良いし、髪の毛も怒髪天みたいにピンピン逆立ってるし、肉質もぷりっぷりしてて非常に美味しそうだし。
こほん、失礼、最後のは余計だった。
ただ、正直、真べえ凄く美味しそうなんだよ。
それだけは分かって欲しい(誰に?)。
「いや、具合が悪いというか、病気かもというか……」
「何!? どこが調子悪いんだ?」
「いや、あの、そういうんじゃなくて、その、ちょっと人と違うと言うか、なんていうか、その……」
「心配なところがあるんなら、遠慮なく言って良いんだぞ。どこが心配なんだ? 俺が診てやるぞ?」
「ぁ、あの! その、今はその、く、臭いから!」
「? 臭い?」
「また、夜来ても良いですか?」
「? 良いけど?」
「んじゃ夜! 夜また来ますから!」
真べえはあっと言う間に走り去ってしまった。
あっら~、一陣の風のように、風というより山だけど、なんなんなんだ?
思春期のお悩み相談と言えばそんな気がしなくもないけど、夜来るってのもそんな感じだし。
にしても臭い?
臭いって何だ?
体臭気にするにしても、寧ろそれは羨ましいとも言えるような『若さの特権』から来るむさ苦しさだろ?
口臭? あいつ、歯磨きちゃんとできてるし、涎垂らすほど唾液の循環も良好だし、内臓も健康だから全然臭わんぞ。
うんち? んなもん、誰だってそこそこ臭いわ。
んでもって、夜。
当然、診療所ではなく家の方に真べえは訪ねて来た。
と言っても、同じ屋根の下なんだけどさ。
「お、来たか。んじゃ、診察室に移動すっか」
で、時間こそ流れたものの、さっきと似たような状況に。
ただ、さっきは学校帰りなのだろう真べえは制服姿だったのだが、今はノースリーブの白シャツに短パンというラフな格好をしている。
張りのある肉、はみ出る手足の太さが目の毒だ。
患者が座る、回転する丸椅子に真べえが座ると、座面が全く見えなくなった。
というか、よくこの丸椅子、耐えてんな。
古めかしい物はときどき異様に頑丈だ。
一瞬、『お医者さんごっこ』、とか頭を
もっとも、こんな過ちなんて、この島に居る限りは絶対に起こりようも無いんだけどね。
ただ一人、今この目の前に居る真べえを除いては、……な。
それはそうと、よくよく視てみると、
「あれ? なんか、真べえ薄っすらと汗かいてんぞ。やっぱ、どっか具合悪いんか?」
今の季節の夜だと、汗かくほどの気温じゃないんだ。
だけど、
「あ、これは風呂から出たばっかだから」
あー、これって、さっきの『臭い』と関係あるのかな?
「んで、どこが気になってるんだ? 真べえは」
「……」
夜になる前から再三再四聞いてきたわけなんだけど、肝心なところがどうしても出てこない。
これが青春ってやつなのかねえ?
「言ってくれなきゃ分からんぞ?」
「……あそこ」
「へ?」
突然、真べえは前のめりになって
「15分~20分、最低でも10分くらいは持たせなきゃオナゴは満足できないって! んだどもオレ!」
と思ったら、すぐに背中を丸めてしょぼくれた。
「オレ……」
あー、思いっきり若人の青春のお悩みだったわ。
大方、島の外に通学している学校で悪友に吹き込まれたかなにかしたんだろうな。
よりにもよって、島唯一でありながらもこんなに美味しそうな若者からこんなにベタな性のお悩み相談持ちかけられるなんて、俺もちょこっとときめいちゃった。
こんな青々しい気分、凄く久し振りだ。
「そりゃあ、時間だけを切り出せば確かにそうかもしれんけどよ、何も時間ばかりが全てじゃあないんだぞ、他にも色々と……」
「そんなレベルの話じゃなくてさ!」
俺のありきたりな講釈は真べえの真剣さに遮られた。
「そんなレベルって、それじゃあ、真べえは普段、どれくらい持つんだよ?」
真べえは前のめりになったりしょぼくれたり、ぐるぐると態度が目まぐるしく入れ替わって全く忙しい。
「ぅぅ、……ぃ、一瞬……」
真べえのやっと絞り出したその告白に、俺の方が思わず前のめりになってしまった。
「い、一瞬!? 一瞬ったって、実際には何十秒かは持っているんだろ?」
「分かんねぇ」
「分かんねぇ、って」
「始めようと思ったら終わってるんだ、……いつも」
(こちらは体験版です)
(こちらは体験版です)
(こちらは体験版です)
過敏性超早漏症候群
OpusNo. | Novel-059 |
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ReleaseDate | 2019-06-18 |
CopyRight © | 山牧田 湧進 |
& Author | (Yamakida Yuushin) |
Circle | Gradual Improvement |
URL | gi.dodoit.info |
個人で楽しんでいただく作品です。
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(こちらは体験版です)