地下牢で処刑を待つ日々 体験版
【まえがき】
※[ご注意ください]
【あらすじ】
※ストーリーそのものは完全に単独のものとなっておりますので、他の作品を知らなくてもお楽しみいただけます。
※残虐要素はありません。
軍隊壊滅の危機を救おうと一人生命を
処分の決定を待つ間、交代する看守の中に、イヌカイにちょっかいを出す元黒騎士の男がいた。
男はイヌカイが性的にも不自由を強いられる国の民であることを知りながら、いやらしい笑みでイヌカイに意地悪な性的尋問を繰り返した。
容赦なく性的快感の素晴らしさをガンガン叩き込んでくる男に屈して登り詰めてしまうイヌカイは、そこで初めて性の悦びを知り、生への未練を覚えた。
皮肉なことに、雁字
しかし、それもこれも、処刑されるまでの生命。
イヌカイは人生の最後の最後にして偶然掴むことのできた自由に、何も知らずに諦めて死ぬよりも、素晴らしいことをもっと知ってより大きな未練を残して死ぬ方が幸せなんだ、と考え、男との濃厚な性のまぐわいを真剣に
【主な登場人物】
【目次】
城の地下へ、百段はゆうに超えるであろう真っ直ぐな階段が続いている。
普通の大人ならすれ違いも出来ようが、聖騎士イヌカイの巨体では少なくともかなりの摩擦を起こさぬことにはすれ違うこともできまい。
そんな狭い石段が、吸い込まれそうな闇に向かって一直線に延びている。
帝国トディダイから派遣された兵士の一団は、ここ、自由主義国家エルジビティの意外な強さに壊滅の危機に瀕した。
騎士団の長、聖騎士イヌカイは団を退却、散開させつつ、せめて他の団員達を守ろうと一人投降し、自らの身と命を差し出したのだった。
圧倒させられるような大きさの甲冑を全て剥ぎ取られ、隠し布一つすら残されなかったイヌカイの裸体はしかし、それでもまだ豪奢だった。
分厚い筋肉の上を、実力を隠すかのように覆い尽くす白い贅肉のオーラは、いまだに甲冑を身に纏った聖騎士、ホワイトナイトのそれだった。
それそのものがただの
それと鎖で繋がれている、これまた錘を兼ねている手錠。
ひたすらに自由を奪われたイヌカイは、それでも堂々と姿勢を正したまま、前後を固める城の兵士2人に連れられて階段を下りて行った。
ただただ、地獄へと歩みを進めて行くだけかのように思えた先の暗闇だったが、先頭の兵士は随所に明かりを灯しながら進んで行く。
どうやら、この地下が使われること自体が久し振りのことのようだ。
階段を下りきったところに、見張り兵の仕事場所であろう少々の広間と左一面にのみ広がる
この地下には牢が一つだけしかないらしい。
つまりは、それだけ重要な人物の幽閉にのみ使用されるもの、だということなのだろうか。
一つだけの牢に一人の監視が付けばそれだけでマンツーマン。それ以外の人物も絡むならば、この牢を使用するのに費やされる労力はかなり割に合わないものとなる。
兵士は牢の扉を開けて、イヌカイに入るように促した。
牢の扉も、鉄格子も、コストを度外視したような重厚さで、例え剛力のイヌカイをもってしても、曲げられることすらできそうにない。
頑丈な鍵を掛けられると、兵士はその扉の鍵とは異なる鍵を牢の中へと投げ込んできた。
「それで首輪と手錠を外すと良い」
なるほど、この地下牢に対する自信が伺えた。
しかしここから、イヌカイが驚くようなことが連続して起こる。
そう、どうもこの自由主義国家エルジビティはトディダイの民には理解のできない先進的な技術を多数持ち得ているようなのだ。
豊かそうなのに、一見、無防備にも見える緩さを感じる国エルジビティ。
そんな国の豊かさを略奪しようと企む他国は数知れず、ガチガチの戒律で窮屈な人生を強いられるトディダイもそんな隣国の一つだった。
それでも、エルジビティは一向に陥落しない。その強さを誇示することもなく、常に粛々と佇んでいる。
その秘密の一端が垣間見えたような気がしたのだ。
イヌカイは当初、牢内の様子を気に掛けることもなく、ただ、すぐその場の地面に座り込んで壁に背中を
せっかく投げ入れてくれた鍵にも目もくれず、重い首輪と手錠はイヌカイを拘束したままだ。
しかし、ことイヌカイにとってはこの重い枷の重さ自体はそれほど苦になるものではなかった。
常人には非常に辛いであろうこの重量も、それを超えるかもしれない甲冑を身に着けていたイヌカイには造作もないこと。
その負荷が例え首に集中していようとも、強固な筋力と分厚い肉甲冑の双方を自らの身に纏っているイヌカイには大した負担ではなかったのだ。
一方で兵士も不可解な行動に出る。
なんと、その場に留まり監視を続けるであろうと思われた兵士2人は揃って階段を上がって行ってしまう。
いくらこの地下牢に自信があると言っても、それは少々自信過剰に過ぎるのではないか?
トディダイという自分の生まれた国しか知らなかったイヌカイにはそうも思えたものだった。
それは何も反逆することばかりではない。
ここまで監視の目が薄いのであれば、自決することも自由なのだ。
イヌカイは国のため、部下のために、その命を投げ捨てた。
もう、イヌカイ本人の心の中ではこの人生は終わっている、既に過去形のものなのだ。
しかし、イヌカイ以外にだれも居なくなったはずの、この地中深くの独房に突如、他者の声が響いた。
「鍵を使わないのか?」
イヌカイは驚いて首を持ち上げ、辺りを見回してみる。
兵士がある程度明かりを点けたとはいえまだ暗がりが方方に残っていて、あまりハッキリと見えるわけではなかったのだが、それでも人影があるようには思えない、気配すらしない。
ただ、声だけはするのだ。
「どのみち、いずれ処刑の日はやってくる。それまで、せいぜい楽にしておくが良い」
イヌカイは改めて声のする方向を見定める。
だが、その先にはどう見ても人の姿は見当たらないのだ。
「ただし、おかしな真似はしないことだ。反逆や脱獄、あるいは自決であったとしても、勝手なことをすれば、せっかく貴殿が
イヌカイは姿の見えない声に驚きながらも、自ら命を
既に自分が終わっていることは覚悟済みであったイヌカイだったが、全てが終わったことに改めて落胆したのだった。
しかし、そのタイミングで、ふっと、声のしていた方向に近いところに弱い明かりが灯った。
イヌカイは落胆を一瞬忘れてしまうほど驚いた。
重い首枷をものともせずに明かりを見上げると、どうもこの地下牢が、ただの殺風景な
そして、明かりの周囲を少し観察した後、改めてこの地下牢に興味を持ったイヌカイはその様子を詳細に知ろうと、ようやく鍵に手を伸ばしたのだった。
(こちらは体験版です)
(こちらは体験版です)
(こちらは体験版です)
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(こちらは体験版です)
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地下牢で処刑を待つ日々
白熊が見た淫夢 2
OpusNo. | Novel-058 |
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ReleaseDate | 2019-05-14 |
CopyRight © | 山牧田 湧進 |
& Author | (Yamakida Yuushin) |
Circle | Gradual Improvement |
URL | gi.dodoit.info |
個人で楽しんでいただく作品です。
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(こちらは体験版です)