ヤヌスの双子 体験版

Cover


【まえがき】


※[ご注意ください]



【目次】


表紙

まえがき

ヤヌスの双子

奥付

ヤヌスの双子

「生まれ変わったら今度こそ一生ずっと一緒に暮らしましょうね」

「ああ、必ずな」




 輪廻転生。そうは言うものの実際のところ、かなりの難関らしい。

 競争率が高くて、長い時間待たないとチャンスが来ない。

 しかも、その意思を厳しく試されるため、実際に転生できる魂は少ないと聞く。

 そんな中、来世の約束を果たさんとする魂が二つ、前世に引き続き同じ時代に生を受ける権利を獲得した。

「よし、俺はあそこの子にしよう。必ず、現世で会おうぞ」

「待って、私もそこの子にする」

「えっ? 嘘だろ? ちょっ、うわっ、馬鹿! っ……」




 俺の名は『こうじ』。

 漢字で書くと『好二』なんだが、正直この名前、というより特にこの漢字はあまり好きじゃない。

 パッと見『こうじ』っていうより、『すきに』って読めちゃうだろ。

 友達はふざけて『すきして』だの、『好二しろ』だの言って誂いやがる。全く、面倒臭いったらない。

 そうやって誂われる所為でもあるが、当の本人でもなんだか好きモノっぽい感じがしてしまうから嫌だ。

 ……でも、まあ、兄貴よりはマシだ。


 兄貴の名は『こういち』。

 すげー安直だろ。まぁ、双子だから仕方が無いっちゃ仕方が無いんだが。

 でも、当の名付け親も安直過ぎると思ったのか漢字は一応違うものにしたらしい。

 『幸一』。

 この名前だけみると俺の名前よりはるかに普通で羨ましいと思ってしまうが、実は兄貴の名前の方がもっと悲惨な扱いを受けていた。

 なぜなら、俺らの苗字は『杉浦』。

 俺らは一卵性双生児だが、兄貴はいつか引き篭もっちゃうんじゃないかって思うくらい、引っ込み思案でおとなしい性格。

 反面、俺はまあ普通……、周りはやんちゃって言うけどな。まぁ、対照的な性格ってやつだ。

 んで、何が悲惨なのかっていうと、四十代くらいから上のオッサン連中はこぞって俺らのことを『ヤヌス』って呼ぶわけよ。

 ……なんだよそれ? ってネットで調べたよ。


 神話に出てくる神の名でもあるんだけど、俺らが生まれるはるか前にやっていたテレビドラマの題名の一部だった。

 そのドラマは二重人格者が主人公になっていて、俺らは別に二重人格者でもなんでもないけど、見た目は区別が付かないくらいそっくりで、性格は真反対なものだからそのドラマを思い起こさせるらしくてな。

 しかも、その主人公を演じてた人の名前が……、あぁ言わんとこ。

 それにしても、可哀想な兄貴。

 でも、兄貴の名前が『幸』で始まらなければ『ヤヌス』って呼ばれることもなかったのかもしれないと思うと、俺も同じくらい可哀想だ。


 お互い『こう』で始まる名前なもんだから、分かりづらいし面倒臭いってんで、『こう』は省いて呼び合おうってことになったのだが、兄貴は『イチ』で良いとして、俺は『ジ』ってどうなんだよ。

 『痔』みたいじゃねぇかって抗議したら、じゃあ『一、二の『ニ』で』ってそれもどうよ。

 ってか、助詞と区別が付かねぇ。

 いや、そもそも一文字じゃ俺が呼ばれてるなんて分からねぇよ。

 そんなわけで語尾を延ばすことにしたらしく、兄貴は俺を『ニィ』って呼ぶんだが、その呼び方じゃ兄弟が逆転してねぇか?

 それとも何だ、俺はネコか?


 双子だと、テレパシーがあるとか、感覚が共有されるとか良く言われるらしいけど、実際のところ、俺はほとんどそんな感覚は分からないな。

 ただ、一個だけどうしても分かっちゃうことがあるんだ。

 それは兄貴が『気持ちいい』ことをしているときに発覚した。

 兄貴の快感を共有してしまうことなんだ。




 あれは中学二年生のときだったか、双子だから当然同じ中学で、兄貴は帰宅部同然の文科系、俺は結構厳しい運動部の部活をやっていたから、学校から帰る時間は兄貴の方が早かったんだが、俺が下校中でもうすぐ家に着くかというところで『ホワァー』ってなっちまったんだ。

 なんていうか、臍の下辺り、丹田とかいうところになるのかな、の身体の真ん中らへんがフワフワと軽くなったような、ちょっと痺れるような、甘いような、じんわりと暖かいような、なんとも言えないから『ホワァー』って言うわ。

 そんな感覚に襲われたんだ。

 それでどうしようもなくムラムラしてきちまって、慌てて家に駆け込んだわけよ。

 俺はまだそのときは目覚めていなかったから、ナニしようとか思ったわけじゃないけど、とにかくとりあえず部屋に篭りたくて一目散だった。


 部屋に飛び込むと、二段ベッドの下段の物陰に兄貴の姿を見つけたんだ。

「イチ、何してるん?」

 兄貴は勢い良く部屋に飛び込んできた俺に驚いてフリーズしてた。

 寝そべったまま何か握ってるような格好をしている。

 俺はベッドを覗き込むように、もう一度聞いてみた。

「何持ってるんよ?」

 兄貴はまだフリーズしてた。

 俺はもう聞くのも面倒になって、兄貴が持っているものを奪おうとしたんだ。

「ニィ、あっ!」

 持っているものは掴むことはできたが奪えはしなかった。

 なんか普通のものと違う、固いけどちょっと弾力性があるへんな触感だった。

 兄貴は変な声出すし、俺はまた『ホワァー』って感覚に襲われた。

「き、気持ち良いんだ」

 兄貴は恥ずかしがっているのか、いつにも増して小さな声で囁いた。

 俺の目も暗がりに慣れて来て、良く目を凝らしてみると俺が掴んだのはモノじゃなくて兄貴の身体に繋がっているっぽいことが分かった。

 そりゃ取れるわけねーなぁ、ってその位置にあるもので身体の一部っていったらチ、チンコか?

「ニィ、やさしく動かしてみてよ」

 恥ずかしがっているといっても、思えばこの頃はまだ恥じらいっていう感覚がそれほど強くなかったせいか、兄貴は大胆な事をさらりと簡単に言いやがった。

 俺は初めて触れて、初めて見た勃起チンコに驚いて、

「なにこれ? なんでこんなになっとるん?」

 って疑問をぶつけながら、兄貴に言われた通り兄貴のを掴んでいた手をちょっとずつ動かしはじめた。

「ニィのもこんなふうになるんだよ」

「こんな? 固く? おっきく?」

 湧き出る疑問を次々とぶつけながらも手を動かし続けていると、俺の『ホワァー』も強くなって、遂には俺の身体の中心にも変化を感じてきた。

 目の前のお手本をまねるように固く、大きく。

 俺も恥じらいを知らなかったから、平然とチャックを開いて初めて勃起した自分のチンコを摘み出した。

「イチ、俺のもなった」

 すると兄貴は身体を起こして、俺のを掴んだ。

「こうやって動かすんだ」

 兄貴の手は優しくて、まるで小さい頃親父や母親に抱っこされたときのような抱擁感に包まれた。優しくて、温かくて、気持ちいい。

 俺も兄貴のマネをして、兄貴のを優しく扱く。

「あぁ、すごくいい」

 兄貴が恍惚としながら囁いた。

 俺は初めてのチンコの感覚ももちろん気持ち良かったが、兄貴のを扱く度にプラスされる『ホワァー』がさらに気持ち良くて、ついつい兄貴のを扱くのに夢中になる。

 兄貴も同じだったらしくて、

「ニィのも気持ち良い」

 とか言っていた。


 どうやら俺たちは、お互いの快感を自分の快感にプラスして感じることのできる、お得な双子の男兄弟だったのだ。

 相手を気持ち良くするほど自分も気持ち良くなるから、お互いにお互いのお互いを気持ち良くさせることに夢中になってしまう。

 そうなると当然、一番気持ち良い時も同時に訪れるのだった。

 こうして、初めて目覚めた日は母親から夕飯の呼び声が掛かるまですっかり放心状態だったのを覚えている。




 お得な俺たちはそれから毎日、お得な相互オナニーを続けた。

 でも、必ずしもいつでもお得というわけにはいかなかった。いくら一卵性双生児だと言っても全ての時間同じことをして生活しているわけではないからだ。


 あるとき、俺が部活で試合の真っ最中に、あろうことか兄貴が家でオナニーを始めたらしくて突如、俺にあの『ホワァー』が襲ってきた。

 そっから俺は調子が狂いっぱなしで、大事な試合だったのに、それの所為で見事に負けてしまった。

 顧問の先生や先輩に叱られたのはもちろん、

「なんで急に腑抜けになったんだ?」

 と疑問を持たれてしまった。

 なんとか言い訳しようとしたけど、しどろもどろになってしまって何を言ったか覚えてない。

 さすがにまいって、家に帰ってから兄貴に、

「イチ、頼むから俺の生活に支障が出ないようにしてくれよ」

 って言って、それ以来、スルときは相互でやるか片方が寝てるときっていうルールができた。


 でも、兄貴が寝静まったときに俺がスルと兄貴は寝言で

「ニィ、良いよう」

 とか言うから寝てても影響しているな。

 お得かも知れないが結構不便だぞ。




 お互いの生活に支障が出ると困るから、俺たちはなるべく同じリズムで生活できるようにと同じ高校、同じ大学に進学した。

 困ったのは、家に篭っている時間の差だと思いたいが、兄貴の方が成績が良かったことだ。兄貴のレベルに合わせるの苦労したんだぜ。それに、なんたって兄貴があれを始めると俺は何も手に付かなくなっちゃうからな。


 ところで、ちょっと気になることがあって、その兄貴なんだが、普段は相変わらず引っ込み思案でおとなしいくせに、相互でスルときだけはどんどん積極的になっているような気がしていたんだ。

 もっとも、俺を気持ち良くすると兄貴も気持ち良くなる体質なわけだから、俺を気持ち良くするのに一所懸命になるのも分からなくはないんだが。

 俺は兄貴に遠慮して、兄貴が寝てから一人で扱くこともあるんだが、兄貴は必ず俺の所在を確認して相互できる頃合を見計らってスルんだ。

 多分の俺が寝ているときに一人でしたこと無いんじゃないかな。


 大学に入ってしばらくした頃、居間でテレビを見ていた俺はいつもの『ホワァー』で兄貴に呼ばれたんだ。

 って、なんか携帯の着信みたいだな。

 んで部屋に戻ってみると、兄貴は全裸で踊っているみたいにチンコを扱きながら嬉々としてこう言ったんだ。

「ニィ、喜べ! 今日からもっと気持ち良くなっちゃうぞぉ」

 あのおとなしい兄貴がこんな、満面の笑みでウキウキ気分で、それでいてその格好と台詞……。

「なんかもう、いろいろと突っ込みどころ満載なんですけど!」

 兄貴を理解しているつもりの俺でも流石に突っ込んでしまった。

 すると兄貴は満面の笑みのまま、

「突っ込むのは俺ー! 突っ込まれるのはお前ー!」

 とか言ってきた。

「はぁ?」

 言っていることを理解するよりも前に『俺』とか『お前』とか言っている兄貴に俺はしこたま驚いた。

 一体、兄貴に何があった!?

 呆気に取られている俺を兄貴は意にも介さず押し倒してきた。

 あれっ? 兄貴ってこんなに力強かったっけ? ってくらい簡単に組み敷かれてしまった。

 兄貴は左手にローションのボトルを持って、

「じゃじゃーん!」

 とか言って見せ付けてきた。

「何だよそれっ? イチ、何する気だよ!」

 兄貴はそれに答えずに、

「まぁ、まっかせっなさーい」

 とか言ってる。

 あぁ、キャラが全く変わってる……。


 兄貴は手際良く俺のスウェットとパンツを脱がせると、いきなり顔を俺の股間に埋め、『ホワァー』で半勃ちになっていたチンコを丸呑みしてきた。

 正直、相互オナニーでお互いのモノを擦る以外のことをされたのは初めてだったので凄く驚いた。

「イチ、何するん!?

 でも、不思議と嫌ではなかった。


 そもそも、内気過ぎてイラっと来ることもあるけど、温厚な兄貴の性格は嫌いじゃない。

 それに、別にナルシシストって訳じゃないが、他人から見ると違いが分からないと言われるこの兄貴の容姿も嫌いじゃない。

 他人じゃ分からないってだけで、当の俺らからしたら結構違いがあることも知ってる。

 実は兄貴だけ微妙にくせっ毛だったりとか、瞳の色が微妙に違うとか、ちょっと俺の顔の方が歪んでいるとか。

 まぁ、最後のは部活のせいだけどな。

 そうそう、部活のせいで体つきも結構違うんだぜ。

 兄貴はやっぱり若干運動不足気味で丸いから、ちょっとだけ幼く見えるんだ。

 でもさっきの力には驚いたけどな。

 俺が知らないところで鍛えたりしているのだろうか?


 まぁそんな話はともかく、驚いたけど、それ以上に未知の刺激で俺のチンコは急速に反応してしまったわけで。

 当然その反応は兄貴にもフィードバックされているわけで。

 兄貴は俺のをじゅぶじゅぶと舐りながら、悶えているわけで。

 この新鮮な刺激を兄貴にも直接味合わせてやりたくて、

「イチのもやってやるぞ」

 って言うと、兄貴は下半身をこちらに向けて横向きに寝そべってきた。


 さっきは結構違いがあるって言ったけど、それは長いこと一緒に居るから分かることであって、大枠ではやっぱりそっくりな二人だ。

 既にギンギンに怒張していた兄貴のペニスもきっと俺のとそっくりなんだろう。

 俺は自分のをこんなに間近に見たことが無いから分からないけど、兄貴のを扱いても、自分のを扱いても、手の感触の違いを感じたことは無かったからな。

 もし俺の身体が凄く柔らかくて、セルフフェラとか出来たりしたらこんな感じなのかなぁ、なんて思いながら兄貴のをしゃぶってた。


 俺らのチンコはまぁ、普通だ。

 特別に大きいわけでもないし、勃起すれば皮は剥けきるし。

 ただ、エラは割りとハッキリとした張りをしていて、舌を絡め易い形をしているぞ。

 言うなら、ジャストフィットってやつだな。

 扱くにも、しゃぶるにも、不自由しない。

 一番気持ち良くなれる大きさと形だと自負しているぞ。

 唇をしっかりすぼませながら、勢い良く出し入れしたり、舌をエラに這わせてプロペラのようにぐるぐると周回させたりなんてのも気持ちいいが、たまに動きを止めてじっとりと口の中の全ての肉壁をペニスに密着させるのも良いな。

 じんわりとした温かさとさっきまでの刺激の余韻が心地良い。

 しばらくシックス・ナインの体勢で新鮮な快感を堪能していたが、程なくして兄貴は身体を起こして元の位置に戻り、先程見せ付けてきたローションをいよいよ取り出してきた。


「さぁ、力を抜いてぇ~。楽~にしてください~」

 なんか病院とかで聞きそうな台詞を言いながら、ローションで潤した指を俺の尻穴にあてがってきた。

「えっ? イチ! いや、そんな! えっ!?

 俺の驚きはMAXで、それこそ逃げようかとも一瞬思ったんだけど、快楽に脱力しきっていた身体は全く動いてくれなかった。

「安心してください~。絶対に気持ち良くなれま~す」

 なんなんだ、この怪しい宗教団体の勧誘みたいな説明口調は、とか思いながらも、指はずぶずぶと俺の体内に侵食してきた。

 指を埋めながら、兄貴は俺に顔を近付けてきて、耳元で

「おまえの気持ち良いところは全部俺に分かる。だから全て、俺に、任せておけ」

 と小さく、しかし低く太く男らしい声で囁いた。


 なんか分からないけど、このとき『ホワァー』とは別に、もっと上の方、そう心臓とかその辺りでなんというか『ズキューン』。

 そう、ありきたりかもしれないけど『ズキューン』って感じの感覚に襲われたんだ。

 なんだかもう全部兄貴に身を委ねたいような気持ちになってしまって、すっかりまな板の上の鯉だ。

 間違っても冷凍マグロじゃないぞ。

 ちなみに、同時に尻の穴も『キューン』って窄んで兄貴の指を締め付けちゃったぞ。

 そんなこんなでなすがままにされていると、指は1本から2本、2本から3本へと気持ち良いところを探りながら増えていった。

 なんせ、俺の快感は全部兄貴に筒抜けなんだから、兄貴も自分が気持ち良いようにしていけば良いだけの話で簡単だ。

 当然その間も、俺のチンコは兄貴の口で、舌で、肉厚な頬で弄ばれている。

 もう俺はメロメロだった。

 正に『どうにでもして』っていう状態だ。

 恥ずかしくて口には出せないけどな。

 もしも俺に前世があったとしたら、女だったのかもしれないな。


 その後の展開は分かりきっていたことだが、いよいよ兄貴が入ってくる。

 でも、もう緊張も何もしなかった。

 正確に言うとそんな余地はなかったってとこだな。

 このまま絶頂を迎えるまでこの気持ち良さを止めることはできなかった。

 兄貴も同じだろう。

 まるで既に何度もやってきたかのような自然な動きでローションをペニスに馴染ませ、ゆっくりと俺に入ってきた。

 そして気持ち良さを確かめながら、ゆっくりとストロークを開始し、快感の上昇とともに徐々にそのスピードを増してゆく。


 これが本能という奴なんだろうか。

 なんか、尻には何種類か異なる感覚があるみたいで、不思議な感じがする。

 出入口のところは一応皮膚に覆われているからか割りと普通の感覚が敏感になった程度って気もするが、中は全く別物で、異物があると自分の意思とは無関係に収縮して追い出そうとする動きをしてしまううえに、敏感な粘膜そのものだから刺激に対して過剰な感覚が襲ってくる。

 さらに、その粘膜の向こう側にある臓器が押されたり、揺らされたりするものだから、なんだろう、内側からマッサージでも受けたら、きっと、こういう感じなんだろうな。

 なんとも矛盾に満ちた器官だ。


 俺たちがシテいるときには言葉での確認が要らない。

 『気持ち良い』とか『イク』とか『来い』とか、そんなこと言わなくてもお互いに筒抜けだからな。

 己の快感に集中することが一番相手を気持ち良くさせることができる。

 当然、息遣いは荒くなっていくが。


 いや、冷静に分析して説明なぞしている場合じゃない。

 なんだこれ!?

 尻そのものも感じるけれど、この、チンコが根元から揺さぶられる感覚!

 初めての刺激ばかりで新鮮だということもあるけど、『ズン!』と突かれると、いつもの『ホワァー』の勢いがまるで違う。

 イチ! そんなに気持ち良いのか!?

 俺も凄い気持ち良い!!

 なんていうか凄い『ホワァー』、そう『ホワワワァー』だ。

 『キューン』で『ズキューン』で『ズン!』で『ホワワワァー』だ。

 すまん、俺バカだわ。

 しかし、息遣いの中にもその反応がついつい混ざってしまう。

「んン」「クゥ」「うわっ」「うはっ!」

 そうこうしているうちにどんどんと高みに昇っていってしまう。

 あっっ、来る! 絶頂が!! 我慢できねぇ!!!




 俺たちが絶頂を迎えるタイミングは常に同時だ。

 1,2,3,……

 何回しゃくっただろう。

 20回くらいはしゃくったかな。

 お互いが高め合っちゃうから絶頂にある時間も長い長い。

 しかも、男の脳は断続的に絶頂を感じるらしい。

 つまりは一回の射精の間に絶頂と平常を何回も行き来するのだ。

 もし、しゃくりと同期するんだとしたら俺達は20回くらいは逝ったってことになるのかな。


 もう、すっかり出し切った。

 もう、すっかり燃え尽きたぜ。

 真っ白にな。

 あぁ、俺の身体も俺自身が放出した汁で真っ白だわ。

 ついでに俺の中もイチの汁で真っ白。

 純白に染められたわ!

 そんな放心状態のなか、イチの身体がゆっくりと俺の身体に覆いかぶさり、イチの唇と俺の唇が優しく触れた。

 そういえば、キスするのもこれが初めてだ。

 ふわーっとした浮遊感を感じて、頭の中も真っ白になっていった。


 ……もうダメだ。

 こんなに気持ち良くなっちゃったら、もう俺はイチから離れられねえ。

 他人としても、ここまで気持ち良くなれることはないだろう。

 一生イチに付いて行くしかねえ。


 でも、それはイチも同じだ。

「もう、おまえ無しには生きて行けないな」

 とかダンディに決めていたし。

 とは言ってもその男前キャラはスルときにしか現れないけどな。

 そんなわけで、俺たちは一生一緒に生きて行くことを運命付けられたわけだ。




 とりあえず、次は御礼お返しということで、兄貴にも尻の良さを教えてやりたいと思っている。

 それともまた、男前に変貌した兄貴に組み敷かれてしまうかもしれないな?


 ……それにしてもスルときの兄貴のキャラの変わりっぷりといったら、やっぱり……『ヤヌス』?


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ヤヌスの双子


OpusNo.Novel-F-1
ReleaseDate2017-07-21
CopyRight ©山牧田 湧進
& Author(Yamakida Yuushin)
CircleGradual Improvement
URLgi.dodoit.info


個人で楽しんでいただく作品です。

個人の使用範疇を超える無断転載やコピー、
共有、アップロード等はしないでください。

(こちらは体験版です)

以下のリンクからこの作品を公開している各サイトに直接移動することができます。

ヤヌスの双子 - BOOTH