黒熊meets伝説の白熊 体験版
【まえがき】
※[ご注意ください]
【あらすじ】
全く接点の無かった二人の熊が引き寄せられるように出会う。
方や、元性犯罪者の強姦魔で、現特殊な性犯罪者の更生指導員をする傍ら、副業として合意強姦サービスをも営む黒熊、利根 万道(とね ばんどう)。
此方、極上の容姿と力も知恵も兼ね備えた完成度の高い男ながら、引き篭もるように山奥で一人きりの半自給自足生活を送るが、たった一回だけ訪れた飲み屋で他客に衝撃を与え、二度と現れないことから本人の知らないところで『伝説の白熊』とまで呼ばれるようになっていた白熊、犬養 耕(いぬかい おさむ)。
二人は、普段どちらも山奥で生活していたり、熊と形容されたり、容姿も似ているといえなくもない程度には似ていたり、と共通点が多いが、万道は求められていなくても突っ込んでしまう暴走癖が過去にあり、犬養は今だに求められても我慢して引き返してしまう奥手だった。
しかし、二人の最大の共通点は、どちらも常軌を逸するほどに精力が強い、『性欲の塊』であったことだった。
巨大な性欲の塊を抱えつつ自分を抑えに抑え、しかし、その限界と破綻に気付きつつある犬養に対して、問題点を見抜いた万道は、『性欲の塊』の先輩もしくは兄として、己の肉体を預けて犬養の性欲を満たしながら、その解決の糸口を犬養に示してあげるのだった。
【主な登場人物】
【目次】
『伝説の白熊』。
かつて、この二丁目界隈のとある店に一度だけ出現したことがある、極上の顔と極上の身体を兼ね備えた極上の男のことを指す。
突如、店に姿を表し、だがしかし、口数も少なく、お通しにも飲み物にもろくに手を付けないまま、僅かほんの数分で店を出て姿を消してしまった男。
その場に居合わせた客達だけが証言者となり、その逞しい体型と柔らかい雰囲気、肌の白さと良く似合っている短い髭から彼は『極上の白熊』と呼ばれるようになった。
噂は噂を呼び、しかし、再び姿を見せることのない彼はどんどんと伝説化していき、やがて、『極上の白熊』は『伝説の白熊』となった。
いつか巡り会えるのではないか、と期待してその店に通う客がかなり増えたらしいが、真実を知る店のママは二度と来ないことを知りつつ、そのことは隠し通していた。
この話は、万道も聞いたことがある。
元強姦魔で性犯罪を繰り返していた利根 万道(とね ばんどう)が山奥の更生施設にて特殊な更正処置を受けて立派に更生した後に、更正指導で受けたアドバイスに従って万道を好む男達が居るであろう場所とコンタクトを取ろうと、そういう場所を転々と訪ねたことがある。
万道がその店に足を踏み入れたとき、万道は特にモテた。
かなりのモテっぷりに、つい、その伝説が人々の頭に思い浮かんでしまうのも仕方が無かったほどだった。
万道は浅黒い、あるいは茶褐色とも形容されるような肌の色をしているが、その伝説の男と同様に『熊』と評されたから尚更だった。
まぁ、万道の場合はごく一部の人には『猪』とか『黒豚』とか言われることもあるので、純粋な熊っぽさで言ったら、やはり伝説の方がより熊っぽいのだろう。
しかし、万道も間違いなくモテ熊だったわけで、そうなると、伝説の白熊の話がどうしても出てきてしまうのだった。
それで、万道もこの『伝説の白熊』の話を知ることになった。
万道もその店では引く手数多の大人気で、それなのに、そこでさらに想像を絶するほどモテたと言われる伝説の話を聞いてしまうと、それはなかなかに強いインパクトがあって、万道の頭の中にもその『伝説の白熊』の話は記憶に残るところとなったのだった。
ただし、その伝説は、あくまで客や赤の他人が勝手に祭り上げたもの。
実態は、人見知りの激しいノンケの極上白熊をゲイの連れが店に連れて来てしまった、というだけであって、それだけだったら普通に飲み食いして、人見知りであっても少々の会話くらいは出来ただろうに、というところだったのだが、あまりの極上っぷりに店内が熱狂してしまい、客が一斉に白熊に猛烈アタック。人見知りの白熊は怯えてしまって顔面蒼白になり早々にギブアップしてしまったのだ。
ノンケだと分かっているのはその連れだけ。ノンケだと見抜いたのはその店のママだけだった。
まぁ、実際にはその後、白熊はその連れの男を抱いたので、ノンケではないのかもしれないが、トラウマになってしまったことは確かでもあり、よっぽどのことが無い限りこの界隈にもう一度姿を現すことは無いだろう、多分。
……未来のことは分からないが。
その『伝説の白熊』の名は、犬養 耕(いぬかい おさむ)。
山奥でひっそりと一人で暮らしている。
農家の長男だったが、嫁を取れた次男に跡継ぎを譲って、家を出た。
まるで引き篭もるかのように、乗用車も通れない、周りに民家の一件も無い山奥に自力で家を立て、自力でライフラインを整備して自給自足的な暮らしを始めた。
しかし、完全自給自足にまでは至らなかった。
大きな問題の一つは精肉や魚介類等の動物性食品の入手。もう一つは通信費やPCなど電化製品を中心とした家財道具に掛かる費用。
電気も水道も引けない場所だったが、それほど大きくはない太陽光パネルと充電池を設置していて、電力消費の少ない家電であればある程度は使えるようにはしていた。
だが、それらに掛かる費用をずっと貯金の取り崩しだけで賄っていけるか? というところに不安を感じた犬養は家を増改築して客間を用意。
山荘を経営するようになったのだった。
とはいえ、犬養にとっては必要な費用が賄える分だけ集金できればそれで良く、毎日部屋を客で埋めようとはしなかった。し、そんなことはできなかった。
まず、客に来てもらうためには立地条件が最悪で、交通手段が無く、長時間の徒歩を余儀なくされるという難点があった。
それに、来てもらえたとしても、贅沢が全くできないどころか、むしろ、普段の生活よりも不便を強いられる。
電気も水も湯水のように使うわけにはいかず、色んなところで残りの資源を気にしながらという時間の過ごし方になる。
風呂は一応あるが狭いし湯量も多くは望めない。ボディソープもシャンプーも無いし、シャワーなんてもちろん無い。かなり歩けば滝ならあるが。
この時点でもう、女性客や家族連れは見込めなかった。しかし、人見知りで奥手な犬養にとってこれは不都合でもなんでもなく、むしろほっとするところだった。
なにせ、元が一人で生きていくつもりでわざと不便極まりない立地を選んだものだから、それと集客とは完全にベクトルが真逆で相性が悪い。
それでも、稀に変わり者が泊まりに来ることがあった。
あまりに不便な山奥は、大自然とか(半)自給自足生活とか、アウトドアやサバイバルなどに憧れるような男には魅力に映ったようだ。
あと、人気の無い場所を好む男にも。
つまりは、需要は少ないが、それなりにはあったのだ。
その塩梅は、人見知りで控えめな犬養がなんとか頑張って捌ける程度だったので、ある意味ちょうど良かったとも言えるものだった。
そんな宿の経営を始めたことで、数少ないながらも不特定多数の出会いを生み、犬養はそこで特異な経験を何度もするようになった。
犬養はとにかく客にモーションを掛けられることが多かったのだ。
客はもちろん男性ばかりだ。
当然、ストレートとかヘテロとか呼ばれる男性だっている、というかそちらの方が圧倒的に割合が高いはずなのだが、なぜか犬養の山荘にわざわざ足を運ぼうとするような男性はゲイの割合が高くて、しかも、その大半が犬養を見てあまりの良い男っぷりに惚れてしまうのだった。
だが、当の本人は極端に低い自己評価をしていて、自分を相手にしてくれる人など居ないと決め込んでしまっている節があった。
さらに、人見知りで奥手の犬養はモーションを掛けられてもどう対応して良いのか分からず困ってしまい、結果的によりぎこちなくなってしまう、というのがそれまでの常だった。
そんな状況が続く中、杉守という客を迎えたとき、やはりこの客にもモーションを掛けられたのだが、ちょっとしたアクシデントもあり、この客の話の持って行き方が上手かったということもあって、犬養は初めてモーションに応えることができた。
杉守はいきなり犬養を誘惑するのではなく、まずは犬養の人見知りによる態度の硬さを解し、仲良しになろうとしたのだ。
偶然にもアクシデント的にキスしてしまったり、背中を流すチャンスを得たりして、なし崩し的に犬養との距離を縮めて詰めて行けたので、犬養もぎこちなくならずに仲良くなれた。
そこで犬養は初めて、男女を含めて初めて他人との性的な行為を経験した。
このとき、犬養は30歳だった。
その後、この仲良くなった客に誘われて上京してきたことが一回だけあった。
杉守に連れられて東京見物をしていたのだが、そんな中で杉守のいたずら心で連れて来られたのが冒頭に出てきたゲイバーだった。
人見知りの犬養にとっては唐突かつ一遍に言い寄ってくる大勢の男達が恐怖でしかなくて、その場で固まってしまい、気持ち悪くなるほど緊張してしまって、結局すぐに店を出ざるを得なくなってしまったのだった。
その後の杉守との会話で、この出来事について、あまりにもモテるが故に一遍に言い寄られた、との説明を受けて、ようやく犬養は自分が特定の男には滅法モテる存在であることを認識するようになり、多数の男性宿泊客にモーションを掛けられた現象にも納得できるようになった。
しかし、そのゲイバーでの出来事が伝説にまでなっていたとは、山奥で一人で暮らす犬養には知りようもなかった。
しかし、それ以外にも、これら一連の出来事は犬養にいくつかの心境の変化を起こさせていた。
一度は一人で生きていくと決めたものの、必ずしも心の底からずっと一人で居たいと思っているとは限らないことに、当の本人が気付きつつあったのだ。
犬養は、自分に相手が出来る訳がない、という思い込みをすることで、一人で生きていく意志の補強をしていた節がある。
それに、自分が思っていたよりも、自分は淡白ではないのかもしれない。
人見知りで、引っ込み思案で、デカ過ぎて力ばっかりで強面でもあるから相手も出来ないし、淡白でもあるのだから一人が向いている、と犬養は自分で理論武装し過ぎてしまっていた。
デカ過ぎて力ばっかりで強面で、というところは、かつて、農家の後継ぎを期待されても嫁を取るどころか付き合うところにすら到達できなかった経験が犬養本人を大きく誤解させていた。
けれども、それはその土地の、しかも、極限られた女性に限ったことだったのだ。
この誤解は特定の男性には滅法モテるという事実により解消された。
性別に拘らないなら相手が出来る可能性は十二分にあるのだ。
人見知りで引っ込み思案なところは変わらないにしても、相手が出来ないことと淡白であるという点には大きな疑問符が付くようになってしまったのだ。
それに、正直焦りもある。
自分にも相手が出来る可能性があることは分かった。
だが、年齢的に峠を越えてしまっていることも犬養自身、自覚していた。
だから、おちおちしていると、そのチャンスも減っていってしまって、結局は『相手も出来ないし』という元の論調に戻ってしまいかねない。
特定の人には滅法モテると認識しても、それが未来永劫続くわけではないということも犬養はちゃんと分かっていた。
やたらと男ウケの良い、恵まれているらしいこの体格もこの顔も、いつまでもこのレベルを維持し続けることができるものではないのだ、と。
そして、これが最大の変化であり、犬養が現在最も悩んでいるところでもある『性欲』の問題。
犬養は自分が淡白であると決め付けて今まで生きてきたわけだが、どうやらそれは、人見知りで引っ込み思案である自分を肯定するために自らを淡白だと定義付けただけであって、本来の自分はそうでもない、ということに犬養自身が気付き始めていた。
いや、そうでもない、なんてもんじゃない。
そんな程度であるなら、今まで通り淡白だと決め付けて生きていっても、自分を騙し通すことができるはずだ。
そうじゃなかったから、こんなにも悩ましいのだ。
自分は淡白なんかじゃない。むしろ、性欲に塗れた獣の雄だ。
そんな本来の自分の姿が、隠し通せなくなってきているような気がして、犬養は仕方なかったのだった。
そして、そこにも犬養は年齢的な焦りがあった。
もし、自分が性欲の塊だとしたら、それを自分は無理やり抑え込んだまま枯れようとしている。
もちろん、ただただ欲に流されて生きることが良いことだとは思わない。
でも、せっかくこうして生を受けて、何一つの自分の欲望を叶えてやらないまま朽ち果てるのが正解なのかというと、それも違うと思うのだ。
赤の他人には伝説と祭り上げられた白熊。
だが、当の本人には人並みの人としての葛藤と日常の暮らしがある。
(こちらは体験版です)
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黒熊meets伝説の白熊
OpusNo. | Novel-044 |
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ReleaseDate | 2017-09-09 |
CopyRight © | 山牧田 湧進 |
& Author | (Yamakida Yuushin) |
Circle | Gradual Improvement |
URL | gi.dodoit.info |
個人で楽しんでいただく作品です。
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(こちらは体験版です)
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