男だけの未来 体験版
【まえがき】
※[ご注意ください]
【あらすじ】
まだ遠い未来の話。
人類の危機は外的要因ではなく、人類そのものの種の存続の危機として訪れた。
Y染色体の消滅。人類から男が消える。
なりふり構わず勃発する研究戦争。その行き過ぎた成果が、さらなる悲劇をもたらした。
それは、全ての精子のX染色体にY染色体要素が発芽してしまったことによる、女性の消滅。一転して、人類から女が消える存続危機へと変わってしまった。
しかし、意外な新事実により、人類の存続は継続可能となった。男だけで繁殖を続けて行くことができる人類の未来。
新たな男だけの世界では、一体、どんな出来事が起こるのだろうか。
【目次】
西暦2552年、遂に、人類に致命的な危機が訪れた。
それは巨大隕石の衝突でも、地球環境の変化でもない。人類そのものの種の存続の危機だった。
元々、それより前からごく一部の有識者は警鐘を鳴らしていた。しかし、大多数は夢物語、あるいは、そこまでいかないとしても、確たる証拠が無いとして、まともに取り合わなかった。
しかし、男女の出生比率が逆転し、なお、女性の出生比率が上昇し続ける時代が続き、一向にその傾向に歯止めが掛かる気配すら現れなかった。
そして、多数の精液サンプルの検証結果から、いよいよ、目を背け続けていることのできない事実にぶち当たってしまったのだ。
精液サンプル中のY染色体を持つ精子の割合が激減している。
Y染色体消滅による男性の消滅。これが、このままでは数十年後に起こることが確実視されるようになったのだ。
ことのシナリオはこうだ。
Y染色体の長さが徐々に減っていく傾向にあった。これは長い歴史を辿ってみると明確な事実だった。しかし、この傾向はどこかで止まる。そう、考えられていた。
そのように考えられる理由として、Y染色体にはどうしても省略しようのない必須遺伝子が複数見つかっており、これらの遺伝子を失ってまでY染色体が短くなるとは考えられない、という論拠があったのだ。
しかし、Y染色体についてはそのとおりだったのかもしれないが、Y染色体そのものが消滅してしまうという事態は想定されていなかった。
遺伝子科学者の見解では、Y染色体が消滅してしまった種でも、雄雌での種の保存のシステムを承継したまま種として存続しているものもあるのだと言う。しかし、人類においても同様に存続できるのかどうかは不明だ。先の話はいわゆる一つの成功例に過ぎないのだから。
そう言っている間にも、現実には人口の男女比がどんどんと偏って、特に若年になればなるほど男性の割合が減少しているのだ。この傾向が改善されない限りは、楽観視など、とても出来るものではない。
一般民間人の男性の中には、この事態に歓迎の意を表明する人もいた。
至極浅い、かつ、利己的な考え方だが、男の割合が減るということは、『男である』という存在だけで貴重なものになるということだ。
つまりは、それだけで『モテる』ということにつながると考えたのだ。だが、確かに男の割合が少なくなった世代はそうかもしれないが、そうなる前の世代の男までモテるようになるのかどうかは、いまひとつ微妙なところだ。
一方、有識者の多くはこれをピンチと言いながらも、裏ではチャンスと捉えていた。
なぜなら、この危機を最初に克服できた国が間違いなく世界のリーダーになるからだ。戦争などに頼らずとも世界の秩序を再構成できる、またとない機会だったのだ。
それもそのはず。
危機を乗り越えられない国はたった数十年で人口が壊滅的な状態に陥り、国として存続できなくなる。そうならないようにするためには、危機を乗り越えられた国に超大な対価を払って、その人口維持の技術なりシステムなりを導入するしかなくなるのだ。
国の人口を保つ。ただ、それだけのことをできた国が、世界の頂点に立つ時代がやってきたのだ。
結果、世界各国で人類存続のための研究競争が勃発した。
どの国も、事が事だけに倫理観などというものを振りかざす余裕など無かった。今まで頑なにタブー視されてきた領域であっても、必要とあらば、進んで研究していった。
ちなみに、XY双方の染色体から成る男性の細胞からは卵子を生成することは可能だが、X染色体しか持たない女性の細胞から精子を生成することは未だに不可能なことであった。したがって、科学の力を借りて男性だけで生殖を続けることは可能であっても、女性だけで生殖を続けることは不可能だった。
(こちらは体験版です)
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男だけの未来
OpusNo. | Novel-029 |
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ReleaseDate | 2015-12-07 |
CopyRight © | 山牧田 湧進 |
& Author | (Yamakida Yuushin) |
Circle | Gradual Improvement |
URL | gi.dodoit.info |
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