遅れてきた性春 (体験版)

Cover


【まえがき】


※[ご注意ください]



【あらすじ】


「おまえは男に寵愛ちょうあいされるために生まれて来たんだよ。このルックスといい、尻の才能といい」

「いやあああ」


 番組のレギュラー続投と引き換えに強要された枕営業。

 プロデューサー山那は、我輩の身体も心も引っ掻き回しながら、俺自身が中身も確認せずに封印し続けてきた性の才能と芯の心理を暴いていった。


 僕はこの先、いったい、どうしたら良いんだろう?

 そんな我輩に、山那は堂々と、

「おまえの性春はこれからだ!」

 と、宣言してくるのだった。


【主な登場人物】




※『芸人 山野純三』シリーズと同じキャラクターを使用していますが、パラレルワールドの話につき、若干の設定変更を行っています。


【目次】


表紙

まえがき

あらすじ

主な登場人物

第1章 権力は我輩の弱点

第2章 我輩の処女、絶体絶命

第3章 呆気無い陥落

第4章 放ったらかしにすんなよ

第5章 一発屋で終われる気がしない

第6章 外も中もネクター塗れ

第7章 遅れてきた性春

奥付

第1章 権力は我輩の弱点

 どうにもこうにも、ギリッギリの芸人生活。

 嫁と子を食わしていかなければならないのに、こんな稼ぎじゃあ、先々持たない。

 切り崩した貯金もあと僅かだ。

 営業もすっかり入らなくなってしまって、ライブも黒(字)が出せない。メディア露出も減ってくる一方だ。

 それなのに、俺の最後の砦となる、唯一レギュラー番組のプロデューサー山那は、こんな時に限って、俺の降板を匂わせてきやがったのだ。


 マネージャーや事務所を通さずに、まずはこそっと、俺にだけ耳打ちしてきた。

「この先の、君の出番をどうしようかと思ってね」

 何が『どうしようかと思ってね』、だ。こいつは、全っ然、分かってない!

 この番組から俺を外したら、他に誰が、あのへっぽこ共等をうまくフォローして、転がしてやることができる?

 そんな体たらくだから、視聴率がだだ下がりに落ちて、『演者を減らさなきゃ』、みたいな話になるんだ。

 元を辿れば、プロデューサーの腕の無さに原因があるんじゃないの?

 何、ほくそ笑んでいるんだ。お前のことを言っているんだよ、山那!


 俺は怒り心頭だが、それでも、表面上は下手に出ることを忘れはしない。

「そう、急に言われましてもですねぇ……」

 ところが、山那の奴は、さらに、わけの分からんことを言い始めたのだ。

「正直、君のギャラは高くてねぇ」

 ハァ!?

 何言ってんの? こんな、しょうもない、まだペーペーの若若手デブキャラ芸人のギャラが、た・か・い?

 嘘付けえ!

 どうせ、あちらの事務所におんぶに抱っこで、あちらが高くても切れないから、組織的に弱いこっちを切りに来ているだけだろうが!


 あー、畜生! 胸くそ悪い! 反吐が出る。

 ……でも、今、この番組切られたら、本当にヤバい。家族全員、路頭に迷いかねない。いや、押印済みの離婚届突き付けられて、俺一人だけが路頭に迷う可能性の方が高いかも。

 俺は思い直して、もう一度、最初から、下手に出直す。


「あの、ちょっと、この番組だけは、できれば続けさせていただきたくてですねぇ、なんとかならないものでしょうかと」

「なるよ」

 ハァ!?

 何、その手のひら返し。言っていることが支離滅裂じゃん。

 俺の面食らった感情が、そのまま呼気に顕れた。

「へっ?」

「君が言うことを聞けば、ね」

 ハァ!?

 俺は再度、怒り心頭。

 何を偉そうに! 『言うことを聞け』、だと? 今まで、どれだけ、お前の言うことに従わされてきて、その度に、身い削らされて、だだスベりにスベらされてきたと思ってるんだ!


 と、俺のはらわたは煮えくり返っていたのだが、それでも、俺はこいつとは違って良識を持つ大人。あくまで、冷静に対処する。

「い、『言うこと』って、何ですか?」

「じゃあ、今晩、ちょっと付き合ってくれる?」

「あ、は、はぃ」

 何なんだ、いったい!

 文句があるなら、今、ここで、言えば良いのに、『言うこと聞け』だの、『今晩、付き合え』だの。

 俺は、『仕事の後にもお付き合い』、なんてのは嫌いなんだよ。

 それでも、今の我輩では、とことん立場が弱いことだけは、どうしても、認識せざるを得ない。

 くそぅ、俺にもっと金と権力があれば。


「じゃあ、付いてきて」

 俺は山那の後を、山那をジト目で睨みながら、仕方なく付いて行った。

 ときどき奴は、ちゃんと俺が付いて来ているかどうか、振り向いて確認してくるから、瞬時にそのときだけ、120%の愛想笑いをお見舞いしてやる。我輩の瞳の奥底は、1ミリ足りとも、笑っていないけどな。


 くっそ、変な路地裏に入って行きやがるなぁ。いったい、どこに連れて行くつもりなんだ。

 ビル街には変わりは無いが、都会の夜にしては、闇が濃い感じ。せせこましく並ぶビルの1階に、まるで目隠しみたいに密集して並ぶ観葉植物と、竹垣。

 そして、暗闇の中に煌々と光るプレートが目に入る。そこには、『御休憩 3時間 ¥3,900』、の文字。ら、……ラブホ!?


 ちょっ、ちょーーーっと待て、山那!

 確かに我輩、ゲイにだけ異様に人気があるのは自分でも自覚ある。でも、我輩自身は違うぞ。疑われるけど、違うぞ! 願われるけど、違うぞ!!

 っていうか、山那、お前、ゲイなのかよ! 俺のことイケちゃう、ゲイなのかよ!!

 ……いやぁ、待て、落ち着け、俺。

 良いか、ラブホに入ったからって、やることがアレだけとは限らないだろう? ほら、例えばさぁ、他にも、何か別のことをするために、たまたま場所取りでラブホを使おうとしているだけとか、あるじゃん! ねぇ? あるじゃん?


 ……無いじゃん。

 あるわけ無いじゃん。ア・ホ・かぁ。俺は、アホか。あるわけあるかぁ! よう、誤魔化されへんわ!

 あーなに、俺、処女奪われちゃうの? 捧げなきゃいけないの? それとも、第二の童貞喪失? セカンドインパクト? 二度目の遅れて来た初体験? 我輩、一度目だって、決して早くはなかったのに。ああぁ……。

 っつうか、ラブホの方も、男二人の客なんて断れよ! 良くあるだろ? 酷く荒らされたり、汚されたりするから、男同士の場合は入館を断るってところ。なんで、こうもあっさりと通すよ? って、ああ、山那だ。こいつが、ここが断らないところだって、知っているんだ。


 はあぁ……。そんなこんな思っているうちに、どうやら、部屋まで来てしまったみたいですよ。

 山那が先に扉を開く。と、同時に、普段、滅多に見られないような異様な雰囲気を咄嗟に感じて、思わず部屋の中へと俺は目を凝らした。

 うわっ! 趣味悪いぃ!

 あっちもこっちも鏡張り。ミラーボールにピンクの照明。白いスポットがクルクルと部屋中を回りながら流れている。

 迂闊にも、我輩はこの雰囲気だけで勃ってしまいそうになる。うっと、込み上げてきそうになる。

 なんで、こう、風俗にしても、ラブホにしても、エロいところは、こうも下品で、お下劣にいやらしいんだか。

 だが、その直後、俺は相手が山那であることを思い出して、瞬時に気持ちが萎えた。


「さ、まずは、一緒にシャワーを浴びようか」

 俺はまだ、往生際悪く、一応の抵抗を試みる。

「あ、あの、山那、さん? お、ぃゃ、ぼ、僕に、枕営業しろ、って、言ってます?」

「いや? そんなもんじゃないけど」

「そ、そんなもんじゃない、って、どんなもんなんですか?」

 すると、山那はとんでもない言葉を俺に向けてきたのだ。


「君をオレのめかけにしてあげるよ」

「はぁっ!?

 俺はついに、下手出の化けの皮が剥がれてしまった。ボケに鋭い突っ込みを入れるが如く、山那に突っ掛かる。

「妾って、なんですか!? 妾って!」

「言い直してあげようか。愛人だよ。おまえは、オレの、愛人になるんだ」

「愛人!? ちょっと、待って、何言ってるか、良く分からないんですけd」

「囲ってやる、って言ってんだよ。最後のレギュラー、失いたく無いんだろ? 自力で守れないんだったら、より有力な権力者パトロンに囲ってもらうしかないんじゃないの?」


「ぐっ」

 俺は言葉に詰まった。

「嫌か? んんー? い・や・か?」

 くそっ、山那ごときが、なんでこんなに偉そうなんだ。確かに今は、俺の命運をこいつが握っているのは、認めざるを得ないけど。あー、くそーっ、認めざるを、得ないのかぁ。

 で、でも。

「い、嫌です」

 俺はまだ抵抗する。しかし、

「嫌だったら、実力上げるしかないよなぁ。それができないんだったら、とりあえず、長い物に巻かれるしかないんじゃないかなぁ。辛いよなぁ、実力が足りていない奴は。でも、仕方ないよなぁ。生きていくためだもんなぁ。でも、」

 山那は突然、俺に顔を近付けてきた。

 俺は脊髄反射的に距離を取ろうとしたのだが、既に後頭部を抑えられていて、逃げることができなかった。

「オレ好みの顔と身体をしていて良かったな、純三。それが、神から与えられた、おまえの才能ってやつだよ」

「うっ」

「悪いようにはしない。天にも昇る夢見心地にしてやるよ」

 至近距離で自信満々に囁いてくる山那。


 くそっ、俺の弱いところを突きやがって。

 確かに我輩は、権力とか、そういった類いのものにとことん弱い。普段は権力主義を嫌うような発言をよくしたりもするが、それだけ気にしているということは、本音のところではかなりのコンプレックスがあるってことなのだ。だから、他人の権力関係は普段から良く観察している。それくらい、気にしている。

 そうした目で見ると、山那が横柄な態度をとってきても、無碍には逆らえないのが今の俺の立場だ、残念ながら。

 『長い物に巻かれるしかない』、山那の言うとおりだ。悔しいけれど。


 山那は『ふふん』と、ドヤ顔をこちらに向けながら、服を脱ぎ始め、顎をしゃくって、俺にも脱ぐように促した。

「くっ」

 『くそ』とまでは、声に出すことができなかった。これが、権力カースト下位の恨めしさだ。

 今の俺は、奴に従うしか、ないのだ。


 諦めの境地で、ぽそぽそと服を脱いでいく、俺の気分は萎え萎えだった。

 こんな、欲情を煽るような下品な部屋で、なのに、相手は男。しかも、止事無き事情により、本心とは裏腹に、喜んで抱かれなければならない。

 我輩は、枕営業をしなければならないのだ。


「嫌がっているわりには、元気ハツラツなんだな」

「ぇ」

 ハ!?

 俺は一瞬、いったい山那は何を言っているんだ? と思った。

 どう見たって、俺の様子が元気になんて見えるわけが無いはずだろう。がっくりと肩を落として、ショボくれた、諦めたような無気力な感じが、全面から溢れ出ていたはずなのだ。

 なのに、山那は、俺に向けて『元気』だと言った。

 俺の、これの、どこが『元気』だと言うのか。

 アアッ!!


 俺が気付いたのと同時に、山那が言葉を追加する。

「嫁さんとセックスレスが続いて、溜まっちゃっているのか?」

「ぁ、ぁぁ、そうです。そのとおりです。全く、そのとおり。た、溜まっちゃっているだけなんですよ。娘もるし、なかなか、自由な時間が持てませんのでね」

 渡りに舟、とばかりに言い訳したけど、俺の息子は張り切っちゃっていて、直立した状態で、俺のでっかい腹越しからでも顔を覗かせるほどだったのだ。僕、決して、そんなにご立派なモノを持っているわけじゃないのに。

 でも、本当。本当に、溜まっちゃっているだけなんだよ、たまたま今、このタイミングで。そんなこともあるじゃん? 生理現象なんだから。そう、ただの、生理現象なんだから!


「純三、おまえの方から来いよ」

 俺が服を脱ぎきったところで、山那から声が掛かる。

 できれば俺は、トルソーとかマネキンでいたかったな。心空っぽの人形になれたら良かったのに。

 もっそりと近付いて行くと、山那の先にはキングサイズのベッド。さらに先には、一面の鏡。

 角度の関係で、自分の姿が映らなくて良かった。こんな、げんなりした姿、自分で直視なんてしたくもない。しかも、それなのに、局部だけがバリバリ、ビンビンに張り切っている姿なんて。

第2章 我輩の処女、絶体絶命

 至近距離まで近付いたところで俺が止まると、山那は、俺の顎の下を手のひらで覆うように掴んで、やや上に向かせながら引き寄せる。

 俺は咄嗟とっさに目をつむった。

 最初に、ぷゆっと、しかし、やや乾いたカサカサの唇が押し付けられた。それから、その中心が開いて急に湿る。

 こじ開けられるように、舌を挿し込まれると、我輩の舌がぐるんぐるんと掻き回された。

 閉じたまぶたの向こうからは微かにピンク色の灯りと、流れていく数々の白いスポットの気配が。

 まるで、混沌とし、朦朧もうろうとした我輩の脳内をそのまま表しているみたいだった。


 僕、おかされた。男に、犯されちゃった。


 山那は、こともあろうに、俺の中に唾液を注ぎ込んできて、俺を征服しようとする。

 ああ、俺が、俺の純血が、どんどんと、失われていく。

 こんな奴と混ざり合ってしまうなんて。交じり合ってしまうなんて。


 喪失感やら、虚脱感やら、諦観やら、さまざまな感情がぜに、ぐずぐずに発酵していた俺は、一緒に入らされたバスルームで、ふと、山那に漏らしたのだ。

「こんな、いい歳したおっさん同士で、乳繰り合って、何が楽しいんですか?

 すると山那は、こんなことを返してきたのだ。

「バカ言うな。人間の性欲なんてのは死ぬまで続くんだよ。若い時だけだなんて、勝手にイメージだけで決めつけてるおまえがおかしいんだよ。そんなんだから、セックスレスになるんだろ?」

 俺は、若干、うっ、と来た。

 確かに、そうなのかもしれない。山那の、その、自信たっぷりな物言いが、俺の方こそが勝手な想像による固定観念に縛られている、視野の狭い人間なんじゃないか、と、そういう気にもさせられてしまう。

 でも、やっぱり、気味が悪いじゃん。

 しかしそこに、山那はもう一言、付け加えてきた。

「当のおまえが、こんなキモいおっさん目の前にして、おっ勃てているくせによ」

「ぁあっ!」

 山那は、我輩のそそり勃つエッフェル塔の一番良い所をきゅっと一握りしてきた。


 俺は心の中で言い訳を考えざるを得なかった。

 我輩の下半身は別人格である、と。当人はあくまで、不本意なのである、誠に遺憾、であるのだと。

 そう! 我輩、別に男に欲情しているわけではない。あまりにも変態チックな状況が続いているから。我輩、ちょっと、そういう変態的なものに興奮しちゃうたちだから。ただ、それだけなんだから!




「やっぱり、その、僕が、その、だ、抱かれる、ってことなんですよね?」

 ベッド前での最後の足掻き、というか、僅かながらの時間引き伸ばし工作。

「もちろん。何? 逆の方が良いの?」

「いえいえ、滅相もない! そもそも、僕、無理ですから」

 俺はついつい、身振り手振りが大袈裟になってしまう。両手バタバタ、そして、どうどうどう。

「ずーっと、おっ勃てっ放しの奴が、何言ってんだかな」

 俺は何かしらの反論をしたかったが、良い返しが見つけられなくて、口をつぐんだ。


「じゃあ、そのが無いと言う純三くんに配慮して、四つん這いになってもらおうか」

「はぁっ!? なんで、配慮した結果が、四つん這いなんて、最高にこっ恥ずっかしい体勢になるんですか? おかしいでしょ?

「オレの姿が見えない方がまだマシなんじゃないか、って、オレなりの思いやりなんだけどな。まぁ、良いや。それじゃ、適当に寝っ転がって、仰向けになれよ」

 確かに、言われてみれば、山那の言うことにも一理あった。だけど、やっぱり、四つん這いなんて格好、完全にボトムだろう? それはそれで、やっぱり、見下され感が強過ぎて、我輩は、嫌だ。

 俺はベッドに乗り上げて、中央に向かって進んでいった。

 すっごい沈むなぁ、このベッド。


 中央辺りで仰向けに寝っ転がると、ピンクの天井、そして、キラキラ光るミラーボールが目に入る。白いドットが幾つも、超速いプラネタリウムみたいにくるんくるん回っている。

 あぁ、俺、ここで、こんなところで、男にられるんだ……。

 山那は俺の左側について来て、左手を俺の股間の方向へと伸ばしてきた。同時に、がっつりと見詰められる。

 あ、やっぱ、これも駄目だ。仰向けじゃなくて、うつ伏せが良かったなぁ、なんて考えが頭をぎる。と、思いきや、山那は伸ばした手を俺の股間には触れさせずに、そのまま身体ごと俺の足の方へと遠ざかっていった。


 俺は若干、気が楽になった。

 やっぱ、視界の至近距離に男の姿が見えるのは気分が萎えるからなぁ。

 そんなことを思っていると、山那はいきなり、俺の両足首を掴んできた。

「えっ?」

 山那は、そのまま足首を上へと持ち上げる。持ち上げながら、じりじりと、俺の方へと近付いてくる。

 いや、ちょっと待って? まさか、いきなりハメてきたりしないよねぇ?

 すると山那は、さらに足首を俺の頭の方へと倒してきて、俺の尻が浮かされる。

「や! ちょちょちょちょ、ちょっと、ちょっと、待って!」

 俺は元に戻ろうと、足に力を込めるが、山那の力は意外なほど強くて、上から抑えつけるように俺の足を倒して、俺の尻は完全に上を向いた。

「痛たたた、痛い! 痛いぃ!」

「身体、硬えなぁ、純三」

 上から抑えつけるような力が弱くなると、俺は再び、元に戻ることを画策したのだが、瞬時に、俺の浮いた背中に山那が張り付いて、俺は戻る場所を失った。

「ちょっ、この体勢、無理! 辛いです、ぅ」

「自分で足抱えて、安定させろよ」

 山那は譲歩してくれなかった。俺はとにかく、少しでも楽になりたくて、自分の両膝裏を両手で抑えてみた。こうすると、多少は辛さがマシになる。

……って、これ、ほとんど、まんぐり返しの格好じゃねぇか!


「この格好だと、何をどうされているのか、良く見えるだろう? なぁ、純三?」

「ぅっ……」

 これ見よがしに、俺の目の前で無駄にヒク付く、我輩の控えめなちんちん。ヤバい、ダメだ、エロい。

「あっ」

 そこに、山那の手が、俺の肛門にぺったりと触れた。

「あ、ローション向こうだわ。純三、ちょっと、右手バンザイして」

「はぇ?」

「ローションその辺にあるから、取って寄越して」

「んっもうぅっ」

 俺は不満気に顔をしかめてから、膝裏を抑えていた右手を外して頭上の方向を探ってみた。目が勝手に泳いで、キョロキョロと上を探す。視界に入るわけがないのに。

 ガツ。闇雲に動かした手がローションのボトルにぶつかって、ボトルを倒してしまったっぽい。

 再びその辺を探って、やっとボトルの存在を確認して掴むと、俺の方に身を乗り出してきていた山那に、そのボトルを手渡した。

「さんきう、純三。また、足抱えててね」

 山那はボトルのキャップを開けると、逆さにして、少し絞る。すると、先端からぶっとい雫が、顔を覗かせてきた。

 だら~ん。

 我輩の尻の穴の中央、ど真ん中に向けて、ねっとりスライムが零れ落ちようとしている。

 俺は困った。流石に、俺自身の尻の穴までもが見える、などということは無いが、やられていることが全部丸見えじゃん。

 俺は恥ずかしくなって、自分の顔に熱量と充血を感じた。が、そもそも、こんな体勢だと、頭に血が昇る。

 こんなの、風俗でもここまで見せつけられたことなんて無いぞ。


 ベチャっとローションがくっ付くかと思ったら、山那がボトルを高々と引き上げたせいで、ローションのかたまりは引っ張られて上に伸びた。

 山那はしたり顔で、

「こういうのは、高い所からファサーっと、やらないとね」

 あまりにくだらなくて、俺は思わず鼻で笑ってしまった。

「ふふんっ、どこぞの料理番組のイケメンかぃ。あほくさ」

 まんぐり返しの格好のままの、俺の小馬鹿にした態度に、山那は気にも留めないどころか、さらなるドヤ顔を見せて寄越した。

「そのとおり、大正解だぜ。純三、これからおまえを、料理するんだからな」

「ぁあっっ」

 長く垂れ下がったローションの雫の上端がついに途切れて落下し、ビチャっと俺の尻を濡らした。

 結構な長さに伸びていたから、量も結構なものになっていて、でも、溢れるかと思ったら、全然溢れてこなかった。

 我輩の尻は特別にデカくて、尻穴は回りの尻肉に埋もれて奥深くに潜んでいるのだ。今みたいに、上に向かされると、蟻地獄の巣みたいに窪んでいて、結構な量の液体をそこに溜めることができてしまうのだろう。

 だからといって、ワカメ酒みたいなのは想像するなよ。絶対に、するなよ。

 って、そんなことを思い付いちゃう俺もどうなんだよ。


 びっちゃりと濡れて、蜜壺みつつぼみたいになってしまった俺の尻に、山那がゆっくりと見せびらかすように指を落とし込んでいく。

「ぁ、あはあっ! や、イヤぁ、イヤぁ」

 俺は思わず両目を見開いた。ホラー映画で殺される寸前の、あの恐怖に怯える目だ。そして、つい、両膝裏を抑えていた両手を伸ばして、本意気で嫌がった。

 なんと山那は、俺の尻穴に手を伸ばすと、指先で俺の肛門を拡げ始めたのだ。

 即座に、拡げられた門へと、溜まっていたローションが滑り落ちる。そして、さらにその内側へと、まるで砂時計のように、じわじわとローションが俺の体内へと侵入してきたのだ。

 それが、視覚だけでなく、感覚でも分かってしまって、俺は吃驚びっくりもしたし、拒絶反応も起こしたのだ。

 しかし同時に、ガキーンと俺の小息子が突っ張りまくって、自己記録更新ばりの出っ張りを主張していた。

 そんなところまで丸々、視覚に入ってしまう。俺は恥ずかしさ全開。頭に血が昇ったこともあって、既に何かしらの限界に到達していた。


 イカン、思い出した。我輩、コテッコテ筋金入りのMだったわ。

 こんなんやられたら、いくら相手が男でも、もうアカンわ。

 まんぐり返しされて、しんどいし、頭は朦朧とするし、ローション流し込まれるし、ちんぽは萎えないどころが、バッキバキに勃起してるし。

 一度ぬるついてしまった肛門は、もう、ちょっとでも気を許してしまうと、すぐに、ダラダラとローションの追加侵入を許してしまうようになる。

 その、じわじわと上から侵食されていく感じがまた、たまらなくヤバい。


「えらい慣れているじゃないか。五反田修行の賜物たまものか?」

「あが! なんで!?

 なんで、山那が知ってる!?

 俺は吃驚したと同時に、その、山那に言われた『五反田修行』のことを酷く後悔もしていた。

 ああああ、風俗通いを繰り返して自分でアナル開発、なんてするんじゃなかった。こんな日が来ると知っていたなら、開発なんてしなかったのに。

 俺は思わず目をぎゅーっと瞑る。

 風俗店での修行より、遥かに酷い。過酷だ。こんなこと、俺はやられたことがなかった。


「こんなだったら、慣らさなくても、すぐに挿れられそうだな」

 その言葉に、俺は怯えた。まだ、心の準備が、いや、そんなもの、いつまで経ってもできるはずも無いけど。

「いやいやいやいや、待って、待って! 無理! そんなん、無理だから!」

 強めの語調とは裏腹に、俺は既に、肉食動物に捕食される寸前の、まだ喰われることを諦めきれていない小動物のように怯えていた。ふるふると小刻みに顔を横に振って震えながら、怯えた目全開で山那を見る。

 しかし、もう、焦点が合わない。変に涙が分泌されてきちゃっていて、目の前がぼやけまくっている。

第3章 呆気無い陥落

 俺は一回、ぎゅーっと目を閉じた。端から余分な涙が溢れ出る。

 そうしてから、もう一度、目を開いてみると、既に山那は、俺のデカ尻をまたぐように立っていて、あそこもすっかり完全に勃っていて、その上に向いているモノを手で下へと向けようとしていた。

 テラッテラに艶めく亀頭。くっきりと段差の付いた雁首。ぼっこりと浮き出た血管。立体感に溢れたその場所が、どアップ、しかも、スーパーハイビジョンで鮮明に我輩の視界に焼き付く。

 確実に我輩の人格をぶっ壊すであろう、最恐兵器。


「やややや、ダメ! 待って! 許して!! 堪忍してぇ!!!

 すると、山那はニヒルにニヤついた。

 俺は堪らず、目を瞑ろうとする。でも、俺の目は、俺の言うことを聞かずに、その一瞬を的確に捉えようとしていた。

 まるで、事故が起こるときの視覚みたいにスローモーションが目の前で展開される。

「あぁっ、ああっ、ダメ! ダメ!」

 むちゅっとローションを仲介にして肉と肉、凸と凹がくっ付く。

 そして、その凸、山那の出っ張りが徐々に俺に埋もれて、短くなっていく。

「あはあっ、うわああっ! ああっ! ああっ! あがあああぁっ」

「スゲェな。やりまくり、百戦錬磨の尻じゃないか。本当に男は初めてなのか?」

「無い! 無い!! あるわけ無!!!

「その割には、ズッポリ入るし、キュウキュウ締め付けてくるし、痛くもないんだろ?」

「いやあっ、言わないで! めて! お願い、止めて! 許して!」

 俺は思わず、足を抑えていた両手を離して、自分の顔を覆った。

「許すもなにも、こんなに喜んでくれているのに、止めるなんてあり得ないだろ」

 そう言うと、山那は、ズンと最後の一押しをして、我輩の尻に、根元まで最大限に埋め込んできたのだ。

「うがあっはあああ!」


(こちらは体験版です)

第4章 放ったらかしにすんなよ


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第5章 一発屋で終われる気がしない


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第6章 外も中もネクター塗れ


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第7章 遅れてきた性春


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遅れてきた性春

山野 純三 平行世界 1


OpusNo.Novel-025
ReleaseDate2015-09-26
CopyRight ©山牧田 湧進
& Author(Yamakida Yuushin)
CircleGradual Improvement
URLgi.dodoit.info


個人で楽しんでいただく作品です。

個人の使用範疇を超える無断転載やコピー、
共有、アップロード等はしないでください。

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