特別福利厚生係 体験版

Cover


【まえがき】


※[ご注意ください]



【あらすじ】


 何も無かった僕の人生にとんでもないことが突然起こった。

 たまたま僕を雇ってくれたスーパーにはとんでもない役職が存在していた。

 とんでもない役職に抜擢されてしまった僕は、そこで、とんでもない資質を開花させてしまう。そして、そこには、新しい出会いと、とんでもない巡り合わせまでもが待ち構えていた。


【主な登場人物】





【目次】


表紙

まえがき

あらすじ

主な登場人物

第1章 ストリッパー

第2章 風俗嬢

第3章 泡踊り

第4章 ダブルヘッダー

第5章 エクストラステージ

第6章 バリエーション

第7章 先代・先輩

第8章 ライフワーク

奥付

第1章 ストリッパー

 この不景気に食っていけるだけでも幸せ者だ。端から見ればしょぼいバイトでも、やっとの思いでつかんだ職だ。

 歳を取るごとにどんどん世間は世知辛くなって、身も心も荒んで痩せ細る思いだ……って、身は肥えてるか。

 同じ職場のおばさん達はなぜかレジ打ちも商品陳列も異様に速くて、付いて行けない僕はバカにされている。

 影で僕の事を『ドジでのろまな豚』って呼んでいるって、この間知った。ってか、あんたらいつの生まれだよ。あ、分かる僕もか。


 今日も必死でレジ打ちして、やっと客足が途切れて人心地付いたと思ったら、おばさんの一人がやってきて、

「あんた、ハラが出とるで。こんなところで、へそ出しルックでセクシーアピールとか止めてや。お客さんが減ったら、うちらクビやで」

 はっと下を向くと、制服の裾がずり落ちたズボンにまで届かずに、突き出た腹が覗いてしまっていた。汗して働いていたからだろうか、幾分熱を持って赤みを帯びている。

 (ここの制服の一番大きなサイズでこれなんだから、仕方ないじゃんか。)

 ズボンを無理くり引っ張りあげてなんとか隠したけど、程なく元に戻ってしまうであろう事は明白だった。

 そして、今度はレジに並んでいたお客さんに言われてしまった。

「お腹冷えませんか?」

 僕は顔真っ赤にして謝るしかなかったよ。




 ある日のこと、いつものようにシフトに従って持ち場に就こうとしたとき、本部から呼び出しを食らった。急遽、交代要員にバトンタッチする。

 あぁ、クビかなぁ。参ったなぁ。今、クビになったら、これから先どうやって食っていったら良いか……


 しかし、呼び出された用件は想像だにしなかったものだった。

「ああ、新村君。君は今日から特別福利厚生係に配置換えね」

 クビでは無いことで安心はしたが、特別福利厚生係? なんだそりゃ? あまりの急な事に面食らってそこから先の話が聞けてなかった。

「急で申し訳ないけど、早速これから本社の12階で岩佐専務から説明を兼ねた接待があるから宜しくね」

 僕、ぼーっとしてた。

「君! 話聞いてる?」

「は、はいっ?」

「本社ビル! 12階!」

「は、はいっ!」

 なんだか分からないけど今すぐ行かないといけないみたいだ。それにしても、本社ビルなんて店頭バイトごときには縁が無いどころか、ビルごと出入り禁止なところじゃないか。そんなところに僕が行っても大丈夫なのか。業務違反とやらでクビになったりしないだろうか。


 訳も分からずに本社ビルに入って行くと受付嬢に呼び止められた。

「こちらで受付を済ませてから入館して下さい!」

 勝手に入って行っちゃいけないのか。こういうインテリっぽいところは丸っきり縁が無いから、どういう動きをしたら良いのかさっぱり分からない。僕、完全に場違いだ。

「あの、12階に行けって言われて……」

 僕は元々汗っかきだけど、緊張して、いつもと違う変な汗が噴き出す。この緊張感、面接の時以来だろうか。

 受付嬢はあからさまに汚い物でも見ているかのような、嫌悪感丸出しの顔を向けてくる。

「お名前をご頂戴して宜しいですか?」

 い、今なんて言った? 日本語だったか? 名前がどうのこうの言っていたみたいだが?

 僕が困惑しておどおどとしていると、

「お名前を教えてください!」

 キレられた……。僕、もう帰りたい。

「に、新村です。新村和則です」

 手の甲で汗を拭いながら、やっと言う。

「アポイントメントは……、えっーと、岩佐からのご予定ですね。少々お待ちください」

 受付嬢は電話を取って何やら話している。

「岩佐の方から、こちらまでお迎えに上がりますので、ここで少々お待ちになってください」

 僕みたいなペーペーのバイトが本社の偉い人に迎えに来てもらっちゃうなんて、大丈夫なのかな。でも、僕の方から出向いたとしても、様子が分からなくて迷うことは確実だろうから、助かったとも言える。


 しばらく待っていると、見知らぬ男の人が声を掛けてきた。向こうさんは僕の顔を知っているらしい。何で、僕なんかのことを知っているんだろう?

「お、居た居た。君君、こっちこっち」

 なんだか落ち着いた感じの紳士で僕とは住む世界が違うような高貴な感じが漂っている。

 僕よりも背が高い。結構恰幅が良いが、僕ほどは肥えていないみたいだ。話し方が結構気さくだった。


「おお! やっぱり、思ってたとおり。いや、思っていた以上だな。パートさんの噂話を耳にしてな、この間偵察に来たんだ。そこでひと目見たときからお願いしたいと思ってたんだよ。話は聞いているよね。早速、働いてもらおうか」

「えっ? な、何を、すれば良いんですか?」

「なんだ、話聞いてないの? まぁいいや、付いて来なさい。ささ、早く。もう、待ちきれないよ」

 岩佐さんだったか、汗ばんだ僕の手を掴んで引っ張るけど、全然気にならないのかな? 僕の方が気にしているみたいだ。


 エレベータはどんどん登って最上階の一つ下、12階へと着く。やっぱり、偉い人ほど高い階に居るのかな? なんて、適当な想像をしていると、豪華な扉を開けて、部屋らしきところに入った。

 最初は岩佐さんの身体に遮られていて良く分からなかったのだが、部屋の様子が見えてくると僕は肉に阻まれた目を丸くした。

 なんじゃこりゃ? 会社のビルだっていうのにまるでテレビでしか見たことがないような豪華なホテルのような部屋。そう、スイートルーム。そんな感じの部屋だ。実物のホテルの部屋なんて中学のときの修学旅行で泊まった大部屋しか知らないけど。部屋の中にはさらにまだ扉があるみたいだ。

 なるほど、偉い人ならこんな豪華な部屋が使えるんだ。と、思っていたのだが、

「今日からここが、君の職場だよ。あっ、とりあえずここで靴脱いでね」

「へっ?」

 僕は靴を脱ぎながら思った。こんなところで、いったいどんな仕事をしろと言うのだろう。清掃? いや、でも、いくらなんでもそれじゃあ楽過ぎるよな。

「あの、ここでの仕事って何なんですか?」

「特別福利厚生係、って聞いていないかい?」

「あの、それは聞いて、あ、う、伺ってはいるのですが……」

「普通に喋って良いよ。特別な癒やしを与える仕事と言ったら良いかな? だから、固っ苦しいことは言いっこ無しなんだ」

「癒やしって、僕、わ、私がですか?」

「『僕』で良い。『です』とかも要らないよ。ここで君は、君に癒やしを求める人の相手をするんだ。それが、君の仕事」

「あの、でも、僕、癒やしっていうよりも暑苦しいって言われるんで、僕には向かないかと。あ、でも、クビは困るんでやりますけど」

「あっははは、君は正直者だな。凄く良いよ。あと、癒やしっていうのは何もグラビアアイドルとか、イケメンとかばかりがするものじゃ無いんだ。そんなものはマスコミが勝手に作り上げたイメージだからな。君みたいな男に癒されたいって人も居るんだよ」

「うーん、そういうものなんですか? でも、実際何をしたら良いのかさっぱり想像も付かないんですけど」

「まあ、それはいろいろだけどな。とりあえず、今日は俺を癒やしてくれないかな。実際にやってみて、だいたいのイメージを掴んでくれ。まあ、みんながみんな、俺と同じような要求をするとは限らないんだけどね。その辺は人に応じて臨機応変に対応して欲しい。分からないことはその場で聞いてくれ。こちらからもちょいちょい説明はするからさ」

「はぁ」

 具体的な話が全然出てこなくて、なんだか余計に混乱したような気がする。


「それじゃあ早速、脱いでくれよ」

「えっ? い、今、何て?」

「服を脱いで、って言ったの」

「あ、あの、……そ、そうか、制服が違うんですね?」

「ぷっ、ふふふ。何だか俺、楽しくなってきちゃったよ。そうだよな、初めてだもんな。新村君か。初々しくて、可愛いよ」

 可愛い!? 今、この人可愛いって言った? 僕が? そんなこと言われたの小学校の低学年のとき以来じゃないか?

「今のヘソ出しルックも可愛いけどな」

 あっ、まただ。サイズの足りていない制服の裾が捲れて赤みを帯びた腹が顔を覗かせている。僕は恥ずかしくなって顔まで赤みを帯びさせてしまった。

「さあさあ、まずは脱いで」

 僕は恥ずかしさに顔を俯けたまま、制服のボタンを一つ一つ外していく。

 はっきりと直視できたわけじゃないけれど、岩佐さんはニヤニヤしながら僕を凝視しているみたいだった。こんなふうにずっと見続けられることなんて、バイトの面接以来なんじゃないか。でも、面接と違って、圧迫感があるわけではない。


 制服の上着を脱いだ。でも、岩佐さんは僕をじぃーっと見詰め続けているだけで、代えの制服を出してくれる気配は無かった。

「あの……」

「ほら、まだまだ。脱いで脱いで」

 下も脱がないと代えを出してくれないのかな。あっ、サイズ合わせとかするためだったりするのかな。きっと、そうだ。

 ベルトを外して、ボタンを外して、チャックを下ろす。僕は制服のズボンを脱いだ。片足を上げたまま姿勢を保つことは、太り過ぎた僕には結構大変なことで、ついつい一度では脱ぎ切ることが出来ずに脱ぎかけの裾を踏ん付けてしまう。

 その下はゴムがヨレヨレで、中央を中心に黄ばみが広がる穿き古しの元白ブリーフだった。ああ、こんなことになると分かっていたなら、もうちょっとましなパンツを穿いて来るんだった。と、僕は後悔した。

「おおっ! 凄いね、君。凄くアガるよ」

 岩佐さんは何故かご機嫌な様子で、心なしか瞳が輝いているように見える。それに、何が上がるっていうんだろう。


 それにしても、制服の上下を脱いだというのに代えの制服を出してくれる気配も相変わらず無いし、脱いだ制服をどうするわけでもなさそうだ。

「あ、あの……」

「ん? どうした? 続けてくれて構わないよ」

「続けるって……?」

「新村君は次にどこを脱ぐのかな。楽しみだなぁ。ほらっ、早く早く」

「!」

 僕は呆気に取られて、岩佐さんをぼーっと見続けていた。まさか、全部脱ぐとかじゃ?

「そんな可愛い顔でじっと見詰められたら、俺、我慢できなくなっちゃうよ。でも今は、君が自分で脱ぐところを見ていたいんだ。頼むよ」


 まさかだ。その、まさかだ。

 これじゃ、完全にストリッパーかAV女優か何かみたいだ。僕が、まさかこんな、悦んで見られるような立場になるなんて。

 僕は迷った末に、これまたヨレヨレにヤレて薄汚れたランニングのシャツを脱ぎ始めた。下着の脱ぎ着もやっぱり苦手だ。すっと脱げずに、モゴモゴと蠢きながらやっと手に届くところを掴んで強引に引き上げる。バンザイの格好になるとそのまま御辞儀をするように前屈みになりながらまたモゴモゴと蠢く。だらしなく付いた贅肉がボヨボヨと揺れる。

 僕はもう一度、岩佐さんの方を見た。やはり、岩佐さんは僕を止めてはくれない。……次に脱げるところなんて、靴下しかないじゃないか。


 僕は靴下の脱ぎ履きも苦手だ。履くときは座った状態でないとできない。脱ぐときは面倒臭がって片足でもう片足の指の間を踏ん付けて足を引き抜くようにして脱いでしまう。でも、今は岩佐さんに一挙手一投足を見詰め続けられているから、流石にそんな脱ぎ方は躊躇してしまう。でも、ここで座り込むわけにもいかない。

 僕は仕方なく、片足を持ち上げで脱ごうとした。でも、僕の体型では、そんな動作でも大袈裟な腿上げ運動になってしまう。それも、腹に邪魔をされ、脛も腿と干渉する。伸ばす手も、邪魔になる腹や足を避けないとならない。そして、片足立ちでは僕の重い身体を長時間支えることは不可能であり、そもそも、窮屈な姿勢で重心も安定しない。この程度のことでも、一発勝負並みの集中力と脚力とバランスが必要とされてしまうのだ。


「ぅわ、たたたっ」

 やっぱり、やり慣れないことだっただけに思いっきりバランスを崩してしまった。

 じっと僕を見詰め続けているだけの岩佐さんも、流石に慌てて手を差し伸べてきた。

「大丈夫かい?」

「あ、す、すみません」

 岩佐さんと僕の距離がぐっと縮まった。岩佐さんは僕の無事を確認すると、そのままの距離で再び僕をじっと見詰めだした。しかも、今度ははっきりと、僕に残された最後の衣服のある股間に集中しているのが分かる。

 僕は視姦され続けて、恥ずかしさもさることながら、どことなくいやらしい気持ちになってしまって、僅かに勃起しそうになってしまった。

 (いやいや、ここで僕を見ている人は、僕と同じ男だぞ?)

 僕は身に纏った最後の衣服に手を掛けた。でも、なかなか勇気が出せなくて、その手を下ろすことができない。


「随分と焦らしてくれるじゃないか」

 岩佐さんは顔の高さを僕の股間の高さに合わせたまま、僕の顔を見上げてきた。

 なぜか、僕は瞬時に顔を真っ赤に染めた。身体全体が勝手に熱を帯びて、熱くて仕方がない。

 だって、こんなの、いくらなんでも、求愛そのものじゃないか!

!!

 僕の両手が突然、岩佐さんに掴まれた。手の甲の上からがっしりと握られる。

「手伝ってやるよ」

 ヤバい。僕、こんなの、初めてだ。僕の中心やや下にちょこんと付いている愛の装置が、勝手に起動し始めた。

 ダメだ! こんな恥ずかしいところ、絶対に見せられない!

 僕は内股にできない太過ぎる太腿を目一杯内側に寄せて、腰も引き気味になっていた。

 岩佐さんは多分、分かっている。分かっていて、やっている。僕の手を下ろす方向へ力が込められる。

 僕は抵抗した。こんなの、こんなの恥ずかし過ぎる。


 岩佐さんは意外にもすぐに力を抜いてくれた。しかも、僕を掴んでいた手も離す。しかし、離した手の指先は、今、僕が一番指摘して欲しくない箇所を指し示していた。

「これは何かな? 何だろうなぁ?」

 あまりの恥ずかしさに僕の愛棒は勝手に上下に首を振る。ブリーフの突起も当然のようにそれに合わせて上下に揺れ動いた。

 もう、弁解の余地など全く無かった。僕が、僕の下半身の方が先に、勝手に欲情するなんて!

「君はルックスだけじゃなくて、素質も十二分に兼ね備えていそうだな。とても、良いよ。凄く、いらやしい」

 くっ、僕、いやらしい。こんな、まだ何も、触れられてもいないうちから、いや、しかも、男の人を目の前に勃起してしまうなんて。


「ほらっ」

 岩佐さんは、誂うように僕の愛棒をブリーフの外側から、下から上へとなぞり上げた。

「ああっ!」


 僕、なんで、こんな大きな声で善がるんだ!? しかも、もう、恥ずかしくて堪らないことに、漏らしそうになってしまっている。確かに僕は決して強い方ではない。いや、正直に早漏だと白状しよう。でも、こんな一さすりでなんて、あり得ない!


(こちらは体験版です)

第2章 風俗嬢


(こちらは体験版です)

第3章 泡踊り


(こちらは体験版です)

第4章 ダブルヘッダー


(こちらは体験版です)

第5章 エクストラステージ


(こちらは体験版です)

第6章 バリエーション


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第7章 先代・先輩


(こちらは体験版です)

第8章 ライフワーク


(こちらは体験版です)


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特別福利厚生係


OpusNo.Novel-021
ReleaseDate2015-07-25
CopyRight ©山牧田 湧進
& Author(Yamakida Yuushin)
CircleGradual Improvement
URLgi.dodoit.info


個人で楽しんでいただく作品です。

個人の使用範疇を超える無断転載やコピー、
共有、アップロード等はしないでください。

(こちらは体験版です)

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