がぶり寄り (体験版)

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【まえがき】


※[ご注意ください]



【あらすじ】


 無自覚の一目惚れで、その人に近付きたい一心で入部してしまった強豪相撲部。場違いな貧弱チビはそれでも、努力と鍛錬を重ねて立派な横幅と主将の座を獲得した。

 同じように先生に対して尊敬以上の想いを抱いていた三人の先輩達が、まだ弱点の多いチビデブ主将マルの特訓に付き合ってくれたが、マルの想いが見透かされていたのか、マルは性欲の捌け口として利用されてしまう。

 それでも、一途に特訓を続けるマルに先輩達も心を許し、先輩達はマルと先生をくっつけてやろうと応援するまでに至った。

 成り行き上、性処理現場に巻き込まれてしまった先生はそれをきっかけにマルの想いと一途な努力の原動力を知る。そして、その想いに報いてやりたいと、自身の身体を差し出すのだった。


【主な登場人物】







【目次】


表紙

まえがき

あらすじ

主な登場人物

第1章 最小兵主将マル誕

第2章 特訓のお手当て

第3章 調教と開発と

第4章 先生を巻き込んで

第5章 最後の特訓

第6章 お前の想いに報いたい

奥付

第1章 最小兵主将マル誕

 動機が不純だと言われてしまったら、何も言い返せないだろう。

 本来なら、僕はこんな部に入るべきではなかった。きっと、他の誰しもがそう思っていたに違いない。

 僕、丸山 守(まるやま まもる)は何にも知らなかった。ただ、無意識の内にその人に近付きたいと思って、というか、吸い寄せられるように近付いて行ってしまい、気が付いたら入部の手続きを済ませてしまっていたのだった。

 この時の僕はまだ、これが一目惚れというものだったなんて、全く自覚していなかったのだ。


 その人の名は松澤 英生(まつざわ ひでき)先生。相撲部の顧問の先生だ。

 僕は相撲のことなど何も知らなかった。その人がかつて大相撲で人気のあった力士であったことも、何故か親方・年寄という道を続けようとはせずに、講師という別の方法で後進の指導に当たるようになったことも。そして、この高校にやって来て僅か一年半ほどで結構な強豪校へと成長させていたことも。

 先生の指導もさることながら、元々の知名度も併せ持って、将来を嘱望されるような相撲経験者がこぞってこの高校の相撲部に集まるようになっていたということも後になってから知ったことだ。


 新入部員として部活動に参加した初日、僕は後悔の念で一杯だった。なにせ、先輩は勿論のこと、他の新入部員も含めて全員が物凄く立派な体格をしている。僕だけが完全に場違いだった。一所懸命、僕に近い貧弱そうな人を探そうとしたけれと、どう見ても背丈で10cmは違いそうだし、体重でも20kgくらいは違いそうだった。

 僕が気にしていただけじゃない。周りの部員の注目も確実に僕に集中してしまっていた。なんで、こんな小っこい、ひ弱そうな奴が入部してきたのかと奇異の目で見られていたことは、いくら僕自身が気にしないようにしたところで、どうしても分かってしまうことだった。

 しかし、松澤先生は単に強豪部を作りあげることだけを良しとはしていなかったみたいだ。あるいは、もしかしたら、僕に気を使っただけだったのかも知れないが、

「相撲は心技体。心と身体を鍛え、技を磨くことが重要です。大会で勝つことばかりが大事なことではありません。みんな、それを肝に銘じて稽古に励んでください」

 と、部員達に釘を差してくれていた。


 部活の稽古は非常に厳しいものであった。僕は付いていくのがやっと、嘘です、付いていけてなかった。先輩達が平然とこなし、他の新入部員でもなんとか付いていっているメニューを、僕はやり切れずにだらしなく土塗れのまま仰向けでぜいぜいと粗い息を続けていた。

 新入部員には稽古の他にもやるべきことが沢山あったのに、僕はそれすらも一切できなかった。

 結局、部員全員が帰宅してしまった後も、僕は一人取り残されていた。身体に力が入らなくて、満足に身動きできなかったのだ。

 松澤先生は僕に、

「大変だと思うけど、聞いてください。丸山君専用のメニューを俺が作ってきますから、丸山君はしばらく、そのメニューに従って練習してください。今の君の身体に標準のメニューはきつ過ぎます。一ヶ月。一ヶ月で標準メニューがこなせるようになることを目標に、徐々に厳しくしていきましょう。頑張って付いてきてください」

 僕は、

「……はい……」

 と、返事するだけが精一杯だった。

 それでも、気遣ってくれている先生のおかげで、心理的な負担が取れたのか、僕は立ち上がることができるようになっていた。

「帰れますか?」

「はい、大丈夫です」

「充分に身体を休めてくださいね」

「ありがとうございます」

 僕はやっと、ゆっくりとだが帰宅することができた。


 翌日、僕は身体中筋肉痛だらけで、全ての動きがギクシャクして、動こうとするたびにいちいち気合を入れなければいけない状況だった。

 一人だけ別メニューなんて恥ずかしい気もしていたが、僕のためだけにわざわざ先生が作ってくれたメニューだ。僕は必死でメニューをこなした。


 一ヶ月は無理だったが、一月半でなんとか通常メニューに移行。その後も、先生や先輩方、それに同級の経験者達の指導に熱心に付いて行った結果、もうそろそろ一年が過ぎようとした頃には、やっと身体が出来てきたと言えるようになっていた。

 しかし、僕の背は入部からほとんど伸びず、体重だけが部員全体の平均を超えるところまで到達。コロコロと丸い体型へと変貌を遂げていた。

 丸一年が経過して、僕にも後輩達ができたが、残念ながら背丈だけはどの後輩達よりも低く、部内最小兵の座は揺るがなかった。それに、一年前の僕みたいなひ弱な新入部員というものにも巡り合うことはできなかった。

 僕はよく「マル」って呼ばれていた。これはその由来が「丸山」という苗字から来ているのだが、僕の体型が丸くなったせいで「マル」なのだと、思っている人も多いようだった。


 相撲を始めて一年経っても、僕には得意の形という特定のものが存在しなかった。

 大抵の部員には得意の形というものがきっちりとあって、如何にその得意の形に持っていくか、すなわち、如何に自分の相撲を取るか、というところに拘って練習を重ねている。

 僕にはそれが出来なかった。体重ではある程度克服したものの、特に背丈やリーチなどで体格に恵まれない僕は相手が誰であろうと常に分が悪い。そこに、この形になれば勝てるなどという常勝パターンは作りようがなかったのだ。

 しかし、ものは考えよう。何も自分の相撲を取ることばかりが相撲の全てではない。自分の相撲に拘る選手が相手なのならば、相手の相撲を取らせないようにすることも一つの手なのだ。

 なんて、考えても簡単に行くはずもない。低い背丈、短い手足のハンデを背負う僕には、出来ることが限られていた。限られたなかで出来ることを磨いていくしかなかったのだ。

 結果として、僕は相手も自分も研究し尽くさなければ勝機が無かった。それは、追究すると、人間の動きそのものを知ることにも繋がっていった。


 その積み重ねが成果を生み始めてきたのが二年生の夏頃。そして、ちょうどその辺りで僕は、なぜか次期主将に抜擢されてしまったのだった。

 並み居る強豪部員がひしめく中で、なぜ自分が? という思いもあるのだが、どうも、得手不得手が割りとはっきりとしてしまっている強豪達に比べて、常に不得手を潰そうと努力していた自分の姿勢に先生が可能性を感じてくれていたらしいのだ。

 先生が僕を買ってくれていることが分かると僕は凄く嬉しかった。あの、特別メニューまで作らせてしまった虚弱児だった僕に、主将などという大役を任せてくれるなんて。

 しかし、一方で不安も当然のようにあった。実績が主将として相応しいわけではないのだ。

 はっきり言って、僕の場合は先ず、見た目、特に背丈とリーチだけでナメられてしまう。逆にナメられる分は有利に働くなんていう見方もできるのかもしれないが、そんなトリッキーな主将なんて誰も望んでなんかいないはずだ。

 そして、幾ら姿勢を買ってもらえているにしても、僕なんかを主将にしてしまえるということはすなわち、思ったほど僕等の学年は伸びていないということをも示唆している。

 三年の先輩達に並び、追い越していかなければならない僕達なのに、僕等は今ひとつ小じんまりと纏まってしまっていて、このままでは数々の大会もパッとしない成績で終わりかねない。

 つまりは、僕が主将として相応しいレベルに成長するだけでなく、他の部員達のレベルの底上げもしなくてはならないのだ。それが、僕に課せられた任務。

 僕は以前にも増して松澤先生とよく相談するようになった。自分のことだけでなく、部活の方向性やなんかもよく話していた。


 三年生の先輩達は基本的に夏の大会をもって引退となるが、毎日ではないものの、僕等後輩達の指導のために任意で部活に継続参加してくれる先輩達も居る。

 僕の年では、柿沼真稔(かきぬま まさとし)先輩、糟谷崇幸(かすや たかゆき)先輩、佐野将之(さの まさゆき)先輩、の三人が継続参加してくれていた。

 この三人は団体戦では必ずメンバーに入っていた強豪中の強豪。特に糟谷先輩は先代の副将、佐野先輩は先代の主将だ。しかも、佐野先輩は高校総合体育大会で個人戦の準優勝者。僕等二年生の鍛え上げには打ってつけで頼もしい存在だった。


 僕は先輩達にたくさんの稽古を付けてもらえるよう、お願いをした。

 先輩達は、ならば通常の稽古とは別に、僕だけのために特別に居残って稽古を付けてやろう、と言ってくれた。

 先輩達にはより多くの時間を費やさせてしまって申し訳ないところでもあるが、先輩達のその意見は、僕にとってもありがたいものだったのだ。

 部活動の時間に僕が先輩達を捕まえてしまうと、他の部員達に行き渡る分が減ってしまう。それに、部活動の時間内では、僕も他の部員の稽古を付ける側に回った方が良いだろう。その方が全体的に良質な稽古になる。

 そして、その後、集中的に僕にも稽古を付けてもらえるのであれば、僕自身もより鍛えられるだろう。

 引退前は先輩達同士での稽古がどうしても優先されるため、僕等が先輩達に稽古を付けてもらえる機会は少なかった。だから、これは大変大きなチャンスなのだ。

 と、偉そうに考えてはみたものの、実際にそうやって部活動を進めてみると、まだ他の部員を圧倒できるほどの力が無かった僕は、部活動の稽古だけでも充分にへろへろになっていた。


(こちらは体験版です)

第2章 特訓のお手当て


(こちらは体験版です)

第3章 調教と開発と


(こちらは体験版です)

第4章 先生を巻き込んで


(こちらは体験版です)

第5章 最後の特訓


(こちらは体験版です)

第6章 お前の想いに報いたい


(こちらは体験版です)


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がぶり寄り


OpusNo.Novel-020
ReleaseDate2015-07-04
CopyRight ©山牧田 湧進
& Author(Yamakida Yuushin)
CircleGradual Improvement
URLgi.dodoit.info


個人で楽しんでいただく作品です。

個人の使用範疇を超える無断転載やコピー、
共有、アップロード等はしないでください。

(こちらは体験版です)

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