20年前、この学校で (体験版)

Cover


【まえがき】


※[ご注意ください]



【あらすじ】


 大河と精一は今年度で廃校となる母校を訪れてみた。

 そこで思い出される20年前の出来事。


 初めから大河のことが好きだった精一と、特に何とも思っていなかった大河。

 図らずも(?)、同時期に別々の先生に狙われ、それぞれに同性との初体験を余儀なくさせられてしまった二人だったが、それをきっかけに二人は付き合いを始めることになった。


 想いが叶う精一と、徐々に精一に惹かれていく大河。やがて、精一の想いは大河の陰に潜む欲求を満たしていき、二人の付き合いは確固たるものに育っていく。


【主な登場人物】




【目次】


表紙

まえがき

あらすじ

主な登場人物

第1章 大河と精一

第2章 甚先生の野望

第3章 繰り返される植え付け

第4章 嫉妬が二人を近付ける

第5章 大河の不本意な初体験

第6章 行き急いだ勝負

第7章 決着、そして、結着

第8章 友達か恋人か

第9章 探究する二人

10章 唯一無二の存在

11章 ずっと同じで常に新しい

奥付

第1章 大河と精一

「懐かしいなぁ」

「でも、随分と変わっちゃったな」

「大分、外は弄られちゃっているけど、メインは変わっていなさそうだよ。校舎も体育館もプールも」

「もう、そろそろ20年ってところか」

「お互い歳を取ったもんだなぁ」

「そりゃ、確かに歳は取ったけど、まだまだこれからって部分もあるし、変わらないところだってあるだろう?」

「そうだなぁ。変わらない、か。あの頃と」




 唯一の接点は教室だけだった。

 でも、その教室においても、席は中途半端に離れ、大河の席は最後列。精一は振り返らないと、大河の姿を見ることはできない。

 それでも、気になるのは、大河が精一のコンプレックスを刺激するような人物だったからだ。


 大河は背が高くて、筋肉質だ。

 当時の中三と言えば、ちょっとでも身体的に自身の有る奴はもう、大抵が格好付けているのが当たり前だった。格好付けとか言ったってその中身は超絶にダサくて、髪の毛を変に尖らせてみたり、何かとすぐに凄んでみたり、ガン飛ばしてみたり、学校で喫煙したりなどと、斜に構えて悪戯に他人を傷つけようと暴れることが男の強さなんだと勘違いしちゃっている奴ばかりだった。

 奴らは強さを誇示しようとする割には良くつるむ。そんなに強いんだったら一人で堂々としていれば良いのに、団体でないと行動できないのだ。だから、奴らは仲間を作りたがる。そんな奴らに、大きくて強い大河が引き込まれたとしても何らおかしくは無いはずだった。

 しかし、大河はそういったレベルの低いダサい男子生徒達とは一線を画していた。大河はそういった奴らのグループには一切属していなかったのだ。特に奴らとの付き合いを拒絶しているわけでもなかったが、大河は奴らに迎合することもなく、また、奴らも大河を仲間内に引き込むことができないでいた。

 恐らく、奴らも意識の根底では分かっていた部分もあったのだろう。大河には真の男の強さというものがきちんと備わっていて、自分達では到底、敵わないのだと言うことを。大河が本気になったら、グループは逆に制圧される。仲良しグループで偽りの強さに浮かれていたい奴らにとって大河は、味方に引き入れるには少々強過ぎるのだ。

 ならば逆に、誰しもが近寄り難い孤高の存在なのかというと、そんなこともないのだ。大河は意外にも、いや、意外にもなんて言ってしまっては大河に失礼だろう。強い男に対する偏見を持ち過ぎたものの見方だ。大河は突っ張っていない、大人しい生徒に対してフレンドリーだった。大河自身が穏やかな性格で、ツンツンしていない奴の方が反りが合うようなのだ。

 そんなだから、大河は大人しい男子生徒にとって憧れの存在になる。ともすると、突っ張りグループの餌食にされやすい彼らにとって、堂々として奴らに怯えることもなく、自分たちとも普通に接してくれる大河は神々しく見えてしまって仕方ないのだった。

 大河は水泳部のエースでもあった。校内ではぶっちぎりだが、残念ながら、大会では県に届くかどうかといったレベル。でも、陸上の短距離100m走でも、陸上部のスプリンターを抑えてクラストップになったりと、その力強さはとても目立つものだった。

 力強さと表現したのは、速いという印象ではないからだ。いわゆるパワータイプで、あらゆる種目を力でねじ伏せていく感じなのだ。最高峰を極めるには至らないが、そこに力でねじ伏せられる範疇を超えたスペシャリストが存在しない限り、大河を超えることはできない。同じクラスのスプリンターは残念ながらそれを超えられなかった選手だ。

 そんな力バカ的な強引さばかりかと思いきや、長距離走でも良い成績を残す。流石に校内のマラソン大会までトップを取ることはなかったが、その身体にしてベスト3に入れるということも驚愕に値した。水泳部で鍛えた大河はスタミナも誇れるところがある。


 一方、精一は柔道部。それだけでも、突っ張りグループに入れるだけの資質はあるのだが、精一もそういったグループには属さない生徒だった。だが、その理由は大河とは大きく異なる。

 精一の背は標準的。しかし、異常に横幅があって目立つ存在だった。柔道部ゆえに骨格もそれなりにしっかりしたものではあったが、肉付きがそれを上回るしっかりさだった。

 この成りで突っ張ったらどうなるか? その滑稽さは精一自身が一番分かっていただろうが、突っ張り生徒達も分かっていた。どのグループも精一を仲間に引き込もうとはしなかったのだ。

 結果として、精一は決して弱い部類ではないのだがグループには属さないという、若干、大河と似たような境遇になった。

 でも、そのおかげで精一は大河に近寄りやすくなる。精一もまた、大河を眩しく見る生徒の一人だった。

 精一の大河に対する憧れは、精一の性向に大きな影響を与えた。精一は性的な観点でも大河を意識するようになったが、大河の存在を起点として同性を意識するようになったのか、元々同性を潜在的に意識していて大河をきっかけに顕在化したのかは定かでない。

 精一は第二次性徴に入って少ししたところ、性器に大きな変化が起こる成長期でもあり、精一の興味は他人の性器へと集中していった。

 もちろん、大河が一番気になる存在だ。しかし、精一にとって大河は若干、性的興味を超えて神々しく憧れてしまう人物だった。精一は何かにつけて後ろを振り返り、大河の姿を見ようとしていたが、その股間を直視しようなどということは、精一にとって、なかなかできることではなかった。


 そんな精一を密かに狙っていた人物が居る。

 担任の斎藤甚先生だ。

 甚先生は元々柔道部の顧問であり、担任になる前から精一とは面識があった。いや、逆に柔道部の活動で精一のことを気に掛けた結果、甚先生は自分の担当するクラスの生徒を選出する際に精一を引き入れようと画策したのだった。

 甚先生は肉付きが良くて比較的大人し目の少年が性に目覚めていくところを見るのが堪らなく萌えるという性癖を持っていた。

 精一はまさに性に目覚めていく過程にある生徒。甚先生はあわよくばその過程に割り入って、精一にめくるめく快感を教えて、刻み付けてやりたい、と、そう思っていた。

第2章 甚先生の野望

 柔道部の部活で生徒達を座らせ、甚先生は指導をする。

 体育座りをした部員の間をぐちゃぐちゃに歩きながら指導をしていたのだが、甚先生は意図的に精一の真ん前で、極端に距離を詰めた。

 他の部員にはさり気なく、精一にだけはわざとらしく、甚先生は自分の股間を精一の目の前に突き出す。

 甚先生の穿き潰して薄汚れた紺のスラックスは既に折り目の跡もほとんど残っていない。甚先生の太った体型で引き伸ばされてなだらかな表面を見せるスラックスのチャックの周辺部分だけが、異様にこんもりと盛り上がっている。

「ん? どうした? 斉木」

 わざとらしい、甚先生の呼びかけ。甚先生の方から仕掛けておいて全く白々しいものだが、精一の視線は、つい、甚先生の股間へと照準を合わせてしまう。

 そんなにハッキリと見続けてしまっては、バレてしまうだろうから、視線を外そうと努力するのに、その股間はわざとなのか偶然なのか、いやらしい膨らみをしていて、その出っ張りが織り成す陰影がとてもダイナミックなものに見えてしまっていたのだ。

「あ、いぇ」

 自分の行いを否認するような返事をする精一。しかし、たびたび視線が甚先生の股間に戻ってしまうのが、思春期ならではの欲深さだった。

 一方、甚先生は精一の期待以上のリアクションにニヤリと顔を綻ばせていた。


 部活動終了の挨拶のとき、甚先生は精一のすぐ傍で、精一の更衣室へ向かうルートを遮るかのような位置に陣取っていた。

 他の部員が散り散りに更衣室へと消えていくなか、甚先生は精一の肩をポンと叩き、

「斉木はちょっとこっちに来てくれ。用事がある」

 精一と仲の良い部員は、一緒に帰ろうと精一を促そうともした。しかし、精一は甚先生と一緒に準備室へと消えてしまい、すぐに出てくる気配も無さそうな感じだったので、仕方なく先に帰っていった。

 精一は準備室の隅まで連れて来られた。2方を壁に挟まれて、前方には甚先生。簡単には逃げ出せない場所だ。

 甚先生は精一の目の前で、わざとらしく、ベルトのバックルを大げさに掴んで、揺するようにスラックスを托し上げた。甚先生の股間の一物がスラックスに潰されて、ぐにゅぐにゅと膨らみの形が変形する。

 精一が思わず甚先生の股間を見てしまう。甚先生はこのタイミングを待っていた。

「これが気になるのか? ん?」

 精一はそこでちゃんとした否定も出来ずに、黙ったまま顔を背けていった。

 精一は視線を外したつもりだったのかもしれないが、それでも、その股間が視界から外れないように横目で見てしまっていて、結局は凝視していることに変わりがないことが甚先生の目からもハッキリと分かってしまうのだった。

「興味があるのなら、触ってみても良いんだぞ」

 躊躇する精一の手を取って、手のひらを開かせたうえで、甚先生はその手を自分の股間へと宛てがった。気が動転して、何もできない精一に対して、拒絶されないと踏んだ甚先生はその手のひらをぐっと股間に押し付けた。

 今までに触れたことのなかった質感。重量感が有りつつも、ふてぶてしく柔らかい。スラックスと下着の布越しなのに、ほんのりと熱く、蒸れている感じがする。

「斉木が俺のを触ったのだから、俺も斉木のを触らせてもらうぞ」

 精一は自分から触りにいったわけでもないのに、甚先生に触られる羽目になった。しかし、他人にあそこを触られる、そんな風に思ってしまうだけで、即座に頭を擡げてしまうのは、精一の中学生らしい初々しさが滲み出ているところでもあった。


「斉木のは今が成長期か」

 甚先生の手は一方を精一の手を押さえたままに、もう一方を精一の股間に伸ばして、道着の上から精一のチンコを確かめるように触っていった。

 精一は即座にガン勃ちとなったが、まだ成長過程にあるチンコは可愛らしいという表現が似合うサイズと硬さに留まっていた。

 だが、精一にとっては自分のことよりも、精一のチンコを弄りながら大きくなっていく甚先生のチンコが精一の手に伝えてくる感触の方が気になっていた。


 甚先生のチンコは立派なものに感じられた。

 実際のところ、甚先生は日本人としてごく標準的なものを持っているに過ぎなかった。しかし、精一にとってみれば、これも立派な大人チンコ。当時の精一が触れることのできた唯一他人のチンコを、とても逞しく思ってしまったとしても仕方のないことであった。

 冷静に考えれば、スラックスのもっこり具合が醸し出す期待感からすると、思ったほどではなかったというのが正直な感想だった。実は、もっこりの大半は恥丘に付いた贅肉であって、チンコのそれではなかったのだ。

 それでも精一は激しく興奮してしまう。

 ちゃんとした理由などない。でも、多分、当時の精一にとって勃起のイメージは、あのとんでもない快感と絶頂と射精に直結してしまっていて、その前兆を甚先生の勃起を見て感じ取ってしまったため、興奮に結びついてしまったのだろう。


「このまま触っていて良いからな」

 甚先生はそう言うと、精一の手を押さえていた手を放して、両手で精一を弄りにいった。

 道着の紐を解いて、最初は右手を精一の道着の中へ、さらにブリーフの中へと捻り込み、直接精一のチンコを弄る。左手は道着の上から玉袋や睾丸を弄っていた。

 甚先生は精一を弄りながら、ときどき自分のチンコをヒクつかせた。精一は甚先生の手が離れても触れ続けていたその手で、そのヒクつきを感じとった。

 精一にとって、その動きはとてもダイナミックなもので、わけもなく興奮を煽られるものであった。


 甚先生はやがて、精一の道着とブリーフを摺り下ろそうとする。

 精一は一旦、甚先生に触れていた手を離して抵抗を試みたが、その手はもう一度甚先生に、甚先生の股間へと誘導された。

 甚先生は固定しておくことを命ずるかのように二度、精一の手をがっしりと股間に押し付けて、ちゃんと掴んでおけと言わんばかりに精一の手の甲を上から覆ってぎゅっと絞った。

 そうしてから、甚先生は悠々と精一の道着をはらりと落とし、ブリーフを捲り下ろした。

 玉袋までが完全に露出する腿の真ん中やや上辺りまでブリーフを下ろしたら、甚先生は、精一に目をやる。少しして、精一がやっと甚先生の視線に気付き、目を合わせると、甚先生はその視線を精一の股間へと下ろしていった。

 精一がその視線の先を追い、自分の股間へと辿り着くと、甚先生の手が自分のチンコへと伸びてくる。精一は自分のチンコが他人に触られるところを初めて見る。

「うっ」

 思わず出る呻き声。大したこともされていないのに、既に精一は足が震えている。

 甚先生はゆっくりと精一の皮を捲り、そして、またゆっくりと皮を被せた。

「ぁっ!」

 精一は初めて他人に、しかも、担任であり顧問でもある先生にこんなことをされて、激しく興奮する。でも、まだ僅かに理性が残っている。

 (嫌だ、止めて。)

 言葉に出そうとはした。でも、結局は一度も声に出せることなく、先生の思いどおりに続けられてしまうのだった。


「んっ、ぅっ」

 ゆるゆると往復各2秒単位で繰り返される皮剥きと皮被せのたびに、精一はいちいち漏れそうになってしまい、堪えようと我慢した。すると、精一は我慢することで精一杯になってしまい、抵抗するという思考はすっかり吹っ飛んでしまうのだった。

 我慢しようとすればするほど、感覚はチンコへと集中してしまう。こんな軽い刺激だけで、こんなに激しい快感が生じてしまうなんて、なんて敏感なものを人間の男は持ってしまっているのだろうと、不思議になってしまうくらいだ。

 既にもう一杯一杯になってしまっている精一の様子を見て、甚先生もご満悦だ。やはり、性に目覚めたての男子はとても敏感で、集中力がある。精一は今、自分のチンコのことしか考えられていないであろうことが、手に取るように分かるのだ。

 そこに、他人に気持ち良くされてしまう快感を植え付けてしまうことは容易いだろう。甚先生は恐らく、この先、少なくとも精一の卒業までの間、精一の身体をこうした快感で束縛し、自由に操ることができる。そう思ったに違いない。


「よく見ておけよ」

 甚先生は精一のチンコを摘んだまんま、精一の少し左前でしゃがんでいった。

 甚先生は精一の真正面に位置取りを修正すると、精一の顔を見上げて口を開き、舌を伸ばして、それを受け皿のように少し湾曲させた。精一のチンコの真下約15cmの距離のところから、徐々に上昇して、チンコとの距離を縮めていく。

 精一には既に舌の上に自分のチンコが重なって乗っかっているように見えていた。自分がこの先何をされるのか、嫌でも分かってしまう。そして、それがどんな感覚を自分にもたらしてくれるのかは、全く想像が付かない。それでも、手で扱くよりも遥かに、きっと。

 手ですら敏感に感じてしまう、花開き始めの精一にとって、それは、自分からは願ったとしてもとても叶わない快感であろう。期待度がMAXを超えている。


 僅か2、3cmの距離まで近付き、はっきりとは遠近の区別が付かない状況。

 いつ、甚先生の舌が自分のチンコに触れるのか。精一の目と感覚はその一瞬を捉えようと、今か今かと待ち構えている。ところが、

「ふっ!」

 精一は突如喘いだ。

 甚先生が距離を僅かに保ったまま、舌先だけを持ち上げて、精一のチンコの裏筋を突付き、一瞬だけ舐め上げたのだった。

 突然の裏切りに、精一のチンコは驚いて大きく振り上げた。そのときには甚先生の舌は元の受け皿のようなやや窪んだ形へと戻っていたのだが、反動で振り下ろされたチンコは元の勃起位置を大きくオーバーシュートして、甚先生の舌を叩いた。

「ぐふっ」

 精一がさらに喘ぐ。

 甚先生は一旦舌を収めて、

「慌てん坊さんだな、待ち切れないか」


 やっと安定を取り戻してきて、しかし、精一の充実した恥丘の肉付きに対抗するかのように、さっきまでよりもやや上を向いた勃起位置で小幅なヒクつきを繰り返している精一のチンコに対して、今度こそ、チンコに沿うようにと甚先生が舌を這わせると、今度は上に逃げられないようにと上唇を被せて、ついに、精一のチンコは甚先生に咥えられてしまった。

「あ、ううっ」

 精一は下腹部の筋肉という筋肉が一斉にぎゅううと収縮してしまって大変だった。チンコだけじゃなく、下腹部全体がガチガチに硬くなってしまう。

「ぐっ、うう、も」

 それでも、なんとか暴発を抑え、限界のサインまで出そうとした精一は良く頑張った。もう、引き返せないだろうと判断するに充分な精一のリアクションを見て、甚先生は一番奥まで咥え込んでいって、精一をじゃぶじゃぶとしゃぶってやった。

「ぁあっ、ぁあっ!」

 精一は堪らず、ぎゅううとした力みの中心に込み上げてきたものを甚先生の口の中へぶちまけてしまった。

 精一は眼の奥がツンと後ろに引っ張られるように視界を歪まされ、どんなに力を保持しようとしても、ガクンガクンと力が抜けてしまう。膝がガクガクと落ちかけるたびに、射精の開始でより敏感になっている精一のチンコは甚先生の舌でおろされてしまって、痛快を超える痛快に耐えられなくなる。


 他の何にも気を配ることができなくなってしまった精一はまさしく絶頂と呼ぶに相応しい絶頂の最中に居たのだが、しゃくっている過程で何度も抜けてしまった力のタイミングで一度だけ、頭を壁に打ち付けてしまった。

 結構なイイ音がしてしまい、流石に甚先生は心配になった。

 精一も流石に頭をぶつけたことは認識して、バランスを前へと修正する。しかし、頭をぶつけたときは力が抜けてしまった結果偶々頭が後ろ側に倒れてしまったというだけで、身体の重心そのものが極端に後ろにずれていたわけではなかった。意識的に前へとずらした重心は却ってオーバーなものとなってしまい、今度は前へと倒れこむことになってしまったのだ。


 甚先生の頭上に精一の重い身体が迫る。

 流石に甚先生は精一を咥え続けていることができなくなって、顔を見上げて目を閉じた状態で、精一のみぞおち辺りをおでこを中心とした顔面に捉えながら、精一の腰に手を回す。

 クッションになるように、甚先生はややゆっくりと膝を畳んで腰をさらに下げ、顔も少し左横に背けて、半分肩で精一の身体を支えるようにしながら、下方へ沈んでいく。

 精一も修正しようとする。

 ただ、前方は既に甚先生に寄りかかってしまっているうえに、手が付けない。精一も腰を下ろしてしまう方へと動いた方が立て直しがしやすかった。

 膝を折っていくと、甚先生のつま先立ちをした正座のような足の上に精一が乗ってしまう。甚先生は即座に膝を開いて、精一の膝が床に着けられるように場所を空けた。

 甚先生が精一の腰に回していた手を下へと引っ張るように下げつつ、半身になった顔の頬や額や頭で精一の胸を押し上げると、精一はようやくバランスを立て直しながら、膝立ちの格好へとランディングした。

 そのままの勢いでつま先を後ろへ引いて倒し、次に自分の踵に尻を乗せて正座へと変わっていき、さらにその正座も足が崩れて、床面にべったりと座り込むようになって、うなだれる。

 うなだれた先には甚先生の出っ張った腹が。その上端がおでこに当たって、精一は一息大きな溜め息を付くと、次の吸気は甚先生の男の匂いがした。

 甚先生は精一の後頭部を優しく撫で回した。しかし、それは愛撫ではなく、先程、精一がぶつけた頭の具合の確認だった。特に腫れている様子は無く、熱も気になるほど無かったので炎症も起こさずに済んだのだろう。派手な音の割にダメージはほぼ無かったようで、甚先生はほっと一安心する。


 甚先生も踵を下ろして、股を開いた正座の状態になると、精一の顔は甚先生の腹から離れて、ようやく精一が顔を上げる。そこに甚先生は物理的に言い辛そうに、

「ほら、お前のだぞ」

 即座に周囲にキツく漂う精液臭。真正面に座る精一には特に直撃した。

「うっ」

 とんでもない快感と絶頂で腑抜け状態にある精一にも、この状況は少々キツいものがあった。

 自分で出したときも、手に付いたそれを眺めてみたり、腹に飛び散ったそれを掬って見てみたり、ティッシュを広げて、間近に見てみたりすることは多々ある。でも、それが、その精液が、甚先生の舌の上にドバァと広がっているのを見せ付けられると、いやらしいような気もする反面、正直、気味が悪い印象も綯い交ぜになって複雑な心境だった。

「いるか?」

 精一は恐れ慄き、震えるように素早く首を横に振った。

 甚先生は取り敢えずゴリ押ししようとはせず、口を閉じると、その精液を味わうようにゆっくりと喉の奥へと流し込んだ。その光景もまた、精一にとってはショックなものだった。

 確かに精一は同じ性である男性へと、その興味と性向は向いていた。しかし、具体的に他人のチンコを扱いたりしゃぶったり、ましてや、その精液を口で受け、飲み込んでしまうなどということまでは考えたことが無かったのだ。


「もう一回して欲しいか?」

 精一はどう答えて良いか悩んだ。やって欲しいような、欲しくないような。

 もう一度、あのめくるめく快感を、と思う一方で、先生にこんなことをされてしまうなんてという思いも、こんなことしちゃいけないという自制心もあった。もちろん、口に広がる精液の光景のショックもある。


「ぃ、ぃぃぇ」

 精一の出した答えは力の無い否定だった。

「そうか」

 甚先生はその答えをあっさり受け入れてしまい、むしろ精一には僅かに後悔の念すら生じた。あの、特別な気持ち良さを逃してしまったような、そんな気がしたのだ。もしかしたら精一は、それでも強引にもう一回抜きに掛かってくる甚先生を期待していたのかもしれない。

 だが、それこそが甚先生の思う壺だった。甚先生は精一の方から擦り寄ってきてしまうように仕向けたかった。それこそが、精一を快感で束縛し、この先何度も更なる快感を教え込んでやれる状況へと繋がっていくのだ。


 甚先生は立ち上がると、精一の両脇に手を差し込んで両腕を持ち上げて、精一も立ち上がるように促した。

 精一が立ち上がると、甚先生は精一のめくれていたブリーフを元に戻してたくし上げた。続いて、床に落ちている道着を拾いに甚先生は屈むと、元に戻るときに甚先生の頭はわざとらしく精一のブリーフの中央を押し擦った。

「あっ」

 甚先生はそれでも何食わぬ顔をして道着を持ち上げる。

 結び紐を精一の手に握らせると、

「気持ち良くなりたかったら、いつでも俺のところに来い。また、やってやるから」

 そう言いながら、甚先生は精一の肩を抱きつつ、準備室から連れ出す。

 準備室を出たところで、甚先生は準備室の鍵を掛けると、

「じゃあな。気を付けて帰れよ」

 甚先生はさらっと職員室へと戻っていってしまった。

 残された精一は呆然としながらも、取り敢えずは帰り支度をしようと、ひとり更衣室へと向かった。


 少しずつ、何かを思うことができるようになると、精一の思考にまっさきに浮かんできたのは、大河のことだった。

 今まで、確かに精一は大河のことを眩しく見ていた。しかし、精一にとって理想の男とも言える大河のことはあまりダイレクトに性的な目で見れるものではなかった。神々し過ぎて、大河のことをいやらしい目で見ることはできなかったのだ。

 しかし、今さっきの出来事で状況は一変してしまった。精一には甚先生の心の内など分からなかったが、精一は甚先生が精一に対して思ったようなことを、大河に対して思ってしまったのだ。

 甚先生にされてしまってあんなに気持ち良かったこと。それを、俺が大河にしてやれたら、大河はどんなにか気持ち良くなってくれるだろう。そして、大河は、もっと俺を頼りにしてくれるだろうか。

 自分も甚先生にもっとされたい。それと同時に大河にしてやりたい、と精一はそう思うようになってしまったのだった。

 甚先生のをしてやりたいとは思わなかったのは、やっぱり大河が理想だったためだろう。甚先生には確かに大人の、中年ならではのエロさというものがある。でも、精一には甚先生に対する特別な感情は無かったのだ。

 大河にされたいとも思わなかったのは、やっぱり大河が理想だったためだ。気持ち良くなるべき人は自分じゃなくてまず大河。そんな変な序列みたいなものが精一の気持ちにはあったのだ。


 精一は自分が大河のをしゃぶるところを想像した。モノの想像はほとんど出来ていない。即物的な興味よりも、やはり、どれだけ大河を気持ち良くすることができるか。そちらの方が精一にとっては重要なことだった。だから、精一が大河をしゃぶる想像をするときは、大河の気持ち良さそうな顔ばかりが浮かんでくるのだった。

 ただ、流石に、口に広がる精液のシーンだけは。大きくショックの残るそのシーンは、ほぼそのまま大河が達したときの想像にも適用された。大河が目一杯気持ち良くなった証が、ここに、俺の舌から溢れんばかりに。


 精一は家に帰って、夕飯までの僅かな時間の隙で、半ば無理矢理気味にコいて出した。ティッシュにまだ吸い込まれていない粘液を大河のものと思い込んで、口にしようとしてみる。

「うっ」

 精一はなかなか勇気が湧かなかった。

 出す前まではあんなに乗り気でいたのに。乗り気だったからこそ、ちょっと無理してでも出したのに。いざ出してしまうと、その気がすっかり失せてしまう。

 それでも、なんとか舌先だけは伸ばして、粘液に触れては見た。粘液は舌の方には付いてこなかった。舌先だけだと、味も良く分からない。でも、それ以上の勇気は、そのときの精一には出せなかった。


(こちらは体験版です)

第3章 繰り返される植え付け


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第4章 嫉妬が二人を近付ける


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第5章 大河の不本意な初体験


(こちらは体験版です)

第6章 行き急いだ勝負


(こちらは体験版です)

第7章 決着、そして、結着


(こちらは体験版です)

第8章 友達か恋人か


(こちらは体験版です)

第9章 探究する二人


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10章 唯一無二の存在


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11章 ずっと同じで常に新しい


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20年前、この学校で


OpusNo.Novel-017
ReleaseDate2015-04-29
CopyRight ©山牧田 湧進
& Author(Yamakida Yuushin)
CircleGradual Improvement
URLgi.dodoit.info


個人で楽しんでいただく作品です。

個人の使用範疇を超える無断転載やコピー、
共有、アップロード等はしないでください。

(こちらは体験版です)

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