隣の大三角形 体験版
【まえがき】
※[ご注意ください]
【あらすじ】
かつて隣のおっさんだった進さんに恋する僕。同じく進さんに恋する進さんの息子、歩。進さんは二人とも受け入れてくれた。
それとは別にちょいちょい歩は僕を抱いてくる。奇妙な三角関係。
それぞれに関係はできても、それぞれはそれぞれ、で済んでいたはずだったが、僕と進さんの逢瀬に歩が乱入して大混戦に。
それでも、その三角形は崩れるどころか、より強く対等な正三角形となって輝いていく。
【主な登場人物】
奇妙で微妙な三角関係はついに、全ての辺が確立して、完全な三角形を形作るようになってしまった。
そして、そのうちの二つの頂点は親子の関係にあったりもする。
親である本間進さんと、その息子である歩。そこに、僕、木上雅貴が居る。
僕、そして、歩は進さんに恋していて、いろいろあって、ついに進さんはその双方ともども受け入れてくれるようになった。
僕は最初、進さんのことを『本間さん』と呼んでいた。しかし、恋をしてから『進さん』が混ざってきて、歩が進さんの息子であると発覚したときに区別の意味合いもあって『進さん』が定着した。歩も普段は『親父』と呼んでいるが、僕と居るときや、逢瀬のときだけは『進さん』となる。
歩は三人の中で一番年下でもあり、進さんからも僕からも『歩』と呼び捨てにされている。
そして、僕は進さんにも歩にも『兄ちゃん』と呼ばれている。これはすなわち、隣の『兄ちゃん』って意味だ。昨年度までは進さんがお隣さんだった。今年度からはその部屋に歩が住んでいる。
歩は僕のことも慕ってくれていて、ちょいちょい僕は歩に抱かれていたりもする。
しかし、その三角形とは別に進さんには仲の良い奥さんが居て、進さんはその奥さんともまだまだ身体の関係も続いている。
進さんは今年48歳になった。進さん本人がその年齢による体力の衰えを気にしながらも、体力的、精力的に一番厳しい状況に置かれている。
ただ、有言実行型の進さんは、僕にも、歩にも、覚悟を決めたと話したとおり、僕の相手も、歩の相手も、続けてくれる覚悟で居てくれた。
僕と歩はお互いに、そんなに詮索しようとはしない。でも、そんなことしなくてもバレるのは目に見えているから、そんなに隠そうともしない。それに、進さんが逢いに来てくれるとしたら、僕と歩は同じ薄壁アパートの隣の部屋同士だ。バレずに済むはずがない。
あれから、お盆休みに歩は進さんと肌を合わせるチャンスがあったそうだ。それはこのアパートでのことではない。進さんと同じ家族で、同じ会社であるということは、今となっては歩にとって大きなアドバンテージだ。血縁が全く無く、普段は勉学に勤しんでいる僕とはチャンスのベースラインが全く異なる。このことでは、僕は歩が羨ましいと思うし、正直嫉妬もする。
でも、その一方で、その埋め合わせを歩が身代わりするかのように、歩が僕を抱いてきたりする。その時の歩はいつもよりも意図的に進さんに似せようとしていて、ただでさえ似ているのに、本物と見紛うことがちょいちょいある。歩は僕にも進さんのように優しい。
そして、進さんも、歩を相手にしたら、その分、僕にも逢う機会を何とか作ってくれる。仕事が忙しいんだと奥さんには言い訳しているみたいだけれど、それってまんま浮気が始まったときの言い訳の一番手だったりして、ちょいとばかし不安にもなる。ただ、奥さんも気付いてて容認しているのかも、と進さんは言っていた。それに、進さんも大変だけれど、僕や歩を理由に奥さんには手を抜かないと言っている。
秋真っ盛りで過ごしやすく、場合によっては既に薄ら寒い日すらある陽気のなか、お盆以降では三度目となる、進さんが逢いに来てくれる日。
僕が歩に譲ったあの日以降、むしろ逢いに来てくれる間隔は短くなっていて、進さんもさぞかし大変だろうと思う反面、やっぱり逢える嬉しさが先に立つ僕であったが、その日、また、状況が大きく動く事件が発生した。
僕と進さんは、抱いたり、抱かれたりだ。前回は僕が進さんを抱いた。今回は進さんが僕を抱きたいと言って、僕はいつものように気持ち良く愛撫されて、メロメロにされた上で、抱かれていた。
僕の大好きな格好良い進さんが、僕の目の前で時折キスをくれながら、より気持ち良くしてくれる。そして、だんだんと盛り上がりを増していく、そんな最中。
「あっ、進さん、良い、良いっ」
僕の視界は愛おしい進さんでいっぱいになっていたが、その背景の隅っこの方が通常ではあり得ない動きをした。天井や本棚など動かない物ばかりの背景が動くことなんて、地震か、それとも僕が不必要に揺れてしまっているかのどちらかくらいしか思い付かない。例外として、動物や人が入ってきたりしない限りは。
「あっ、あっ? あ?! あ! ああ!!」
僕はその背景に目をやって驚いた。その驚きは簡単には言葉にできないくらいだった。たった三文字の言葉すら発することもできずに、僕は驚きの声を上げ続けた。
その様子のおかしさに進さんも僕の様子を伺う。僕の視線が進さんから外れていることを知ると、そのずれた視線の先を探ろうと、進さんは振り返る。
しかし、対象物は隠れるように進さんの背後を取った。僕はやっとここで言葉になる。
「歩!」
「歩?!」
進さんも驚いて、目一杯振り返った。
「歩? 何で、ここに? もしかして、俺、鍵掛け忘れた?」
いや、そんなはずは。確か、僕も進さんが鍵を掛けたところを見ていたはず、だと思う。
それにしても、お互いにお互いが抱き合っていることを知ってはいても、こうして直に現場を押さえられるともの凄く恥ずかしいものがある。僕自身が直接、歩に抱かれたことも何度もあるのに。
「まぁ、良いじゃないか」
存在がバレた歩はそう言いながら、進さんの背後から、僕にも見えるように進さんの横へと移動した。
「あんまりにも良い善がり声が聞こえてくるから、とうとう我慢できなくなって来ちゃったよ」
「ちょ、歩。まさか」
唐突に声を上げる進さん。僕からは見えていなかったが、どうやら、歩の手が進さんへと伸びているようなのだ。
「一遍に二人相手しちゃった方が、進さんも、時間も手間も省けて良いよね」
「ぁあっ、歩、そんなの、俺が二倍大変になることを、忘れているぞ、おおっ」
この進さんの声の感じ。歩は進さんの尻を弄っているのか。
「二倍気持ち良い進さんも見てみたい」
歩は事も無げに言って、進さんに愛撫をし続ける。
「あ、歩、俺、こんなこと、したことないんだから、なあふっ」
「進さんの初体験かぁ。燃えるなぁ」
進さんの弁解は全て裏目に出てしまっている。
「ちょっ、兄ちゃんも、こんなの嫌だよなぁ?」
進さんは最後の砦として僕に救いを求めてきたのだが、
「僕も進さんの初体験と、二倍気持ち良くなっているところを見たい」
と、つい僕は本音を優先して漏らしてしまった。
「ああぁ、兄ちゃん、結構、意地悪いんだったぁ、うぅっ」
進さんは後悔したように喘ぐ。
歩はさらっと下半身だけを脱ぐと、再び進さんの背後を取り、
「進さん、もっと気持ち良くなって」
僕もつい、
「進さん、もっと気持ち良くなっているところを見せて」
「ぅあっ、ぁうう、うっ、くふっ、んんぐ、うああ! あ、あかん! タンマだ! タンマ!」
僕に挿れたままの進さんは、同時に歩に挿れられただけで今までにない乱れっぷりを見せた。
僕もなんだか不思議な気分だった。進さんに挿れられたまま、進さんの顔に歩の顔まで見えると、なんだか、どっちに抱かれているんだか、あるいは両方なのかと、混乱してくる。
それにしても、進さんだって関西人でもないのに、切羽詰まると関係無くなっちゃうんだな。そのうえ、もうタンマとは。
「進さん、まだ始まったばっかりだよ」
歩も言っている。
「駄目! すぐ終わる! すぐ、終わっちゃう」
進さんの二倍感じている顔はとてつもなくいやらしかった。強張りまくっているのに、ディテールがいちいち感じているアピールをしているのだ。睨みをきかせたように眉間に皺を寄せる目付きなのに、目尻と眉尻から力が抜けちゃっている。喘ぎに開く口も端っこが緩んじゃっている。
僕は悪戯心に火が付いて、自分の内臓をうにうにと動かして、僕の中の進さんを積極的にいたぶった。
「兄ちゃん! 追い打ち! 駄目!」
僕が調子こいてることに気付いて、歩も進さんを突き圧して攻撃を強化する。
僕はさらに、意地悪い言葉を進さんに投げ掛ける。
「我慢して、我慢しきれなくなって、進さん」
「ぐっ、我慢、だはっ! なんて、無理っ! だああああ!」
僕は今まで、進さんが僕を抱きながらイッたところも、僕に抱かれながらイッたところも見てきた。でも、その双方が合わさったイキざまは、とても激しいものだった。強烈な刺激に絶頂のタイミングもコントロールできないほどやり込められてしまっていて、全く余裕が無い。ジェントルな進さんからジェントルさが完全に吹き飛んでしまっている。
「あがっ、が、ぐうぅ、ぐ、ぐ、ぐ、ぐ、づぅぅっ」
この喘ぎの濁点の多さは、僕が射精直後にも関わらず進さんを責めたててしまったとき以来だ。それでも、時が経てば、徐々に治まってはくる。
「ぐううぅぅ」
身体中から力が抜けてきて、進さんはぐったりと僕の横に顔を
しばらくは官能的な荒い息を続けていただけの進さんだったが、やがて、
「兄ちゃん、俺に代わって、歩に説教してやってくれ」
耳元で、歩には聞こえないように囁いた。
僕は頷きながら、進さんのうなじを撫でて、了解の返事をした。
「オレ、まだだから、進さん、もうちょっと付き合って」
歩はそう言いながら一旦引き抜いて、上半身も脱いで全裸になった。
「う、うぅっ」
進さんは項垂れながらも、僕からも抜いて、一旦は全員がフリーな状態にリセットされた。
僕が進さんの下から這い出ると、歩は進さんをひっくり返して、仰向けにさせた。
歩は気付いていない。僕も、まだだということを。
「進さん、挿れるよ」
「うっ、歩、うう」
進さんはすっかり歩の為すがままになってしまっていて、諦めたような喘ぎを僅かにするに留まっている。
歩は僕を放っ放り出して、すっかり進さんとだけしている気分のようだ。そこに、僕は背後から手を伸ばした。
「えっ? 兄ちゃん?」
歩にとっては予想外の展開だったようだ。何しろ、僕は歩を抱いたことが今まで一度も無かったからだ。もしかしたら歩は、僕と進さんとの間でも、僕が進さんに抱かれているだけだと思っていたのかもしれない。
「歩、おイタが過ぎる子は、お仕置きしなきゃいけませんねぇって、進さんも言っていたぞ」
(こちらは体験版です)
(こちらは体験版です)
隣の大三角形
隣のおっさん 4
OpusNo. | Novel-016 |
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ReleaseDate | 2015-04-11 |
CopyRight © | 山牧田 湧進 |
& Author | (Yamakida Yuushin) |
Circle | Gradual Improvement |
URL | gi.dodoit.info |
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(こちらは体験版です)