芸人 山野純三 (純) (ゲイ小説 作品)
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この作品は、『芸人 山野純三 シリーズ』に属する作品です。
最初は康雄の邪な思いから始まった。しかし、康雄は純三に魅かれ、その想いはすぐに真剣で一途なものとなっていく。純三を独占することよりも、純三が幸せになることを願う。そんな、恋愛感情の初めての形を認識しながら、純三を愛し、純三とその家族の幸せを願う康雄。
純三は康雄とのやり取りの中で、気持ち良くて仕方のない自分の身体に気付かされ、次々と開発されてゆく。そして、そこに康雄の変わらぬ愛を見つけ、康雄を愛する自分にも気付いてゆく。
幾つかの出来事を経ながら、深い絆と愛情を育んでいく康雄と純三の出会いからの半生を、双方の視点から描いた作品の純三視点バージョンです。
■ 章構成 ■
枕営業
強姦
課外授業
狼男
嫉妬
愛している
全6章構成で、文字数約64K、A6文庫サイズのPDFで217ページとなっております。
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あとがきなど
この作品は『芸人 山野純三 (康)』の純三視点版ですので、あとがきも基本同じ、と言いますか、最初は康雄視点版から着手していますが、最終的には両方を何遍も見返して、頭わやくちゃになりながら修正を繰り返していましたので、切っても切れません。
『芸人 山野純三 (康)』にも載せているものですが、当時まだ「純愛」というタイトルにしていたころのメモ書きを発掘しましたので、それをあとがきとさせていただきたいと思います。
始めは、「枕営業」というシチュエーションのずりネタだけでした。
僕は良い男が行為を強要されて、しかし、どうにも気持ち良くなってしまって……、というシチュエーションが大好きなので、そういう妄想は良くするのですが、今回はその妄想をもっと広げて、一つのお話という形にまで発展させてみました。
妄想から話に発展させるときに難しいのが、どうしたら気持ち良い側に倒れてくれるか? というところです。
具体性を持たせようとすると、どうしても、行為を強要された時点で拒絶する方向へ行ってしまいます。ずりネタの時点だったら、そんなことを気にする必要なんて全く無いんですけどね。
気持ち良い側に倒れてくれるような背景と設定を苦労して組み立てたとき、このお話はもっと先に続けられるんじゃないか、と思いました。
そうして出来たのが、「課外授業」、「狼男」、「愛している」、の三つの章です。
一貫して純三を想い続ける康雄と、きっかけこそ行為の強要だったものの、徐々に康雄に魅かれて行く純三。そして、その過程で純三は新たな自分を次々と発掘されて行くという形が出来上がりました。
その後、康雄と純三との間に深い絆ができた一因とも言える印象的な出来事を追加したいと思い、「強 姦」の章を作りました。
この章でのシチュエーションは逆ロシアンルーレットとでも呼べるような、やはりずりネタの一つではあったのですが、これを純三に適用してしまうと気持ち良い側には倒れてくれずに、心に大きな傷跡が残るような出来事へとなってしまうのでした。
ちなみに補足させていただくと、あの五人の女達とのやり取りの中には、幾つも和姦へと繋がる道はあったのですが、純粋で生真面目な純三がその道を全て選択 しなかったということになります。他の人では全て和姦になっているので、こんな酷い目に会うようになってしまったのは純三ただ一人です。
注射の件についても、和姦になった人が三回戦、四回戦と続けて行くときに合意の上で使用するのが本来です。ただ純三のときは、頑なに拒み続ける純三に苛立ちを覚えた女達が強引に行為をしようとしたために、ちゃんとした説明もなしに持ち出したということなのです。
僕が話を書くとき、幾つかのぼんやりした方向性なり通過点や結論はあるのですが、そこに至るまでのやり取りなどは、僕の頭の中で繰り広げられた展開そのままに書いていたりします。
この「強 姦」の章で、いかにして純三を立ち直らせたら良いか。康雄の試行錯誤はまさしくそれでした。
ですから、康雄は最初のうちは全く探り探りで、純三が話せるようになるためにコミニュケーションのレベルをどこまで落したら良いのか戸惑っていたりしています。
初めは「ずっと待つ」と言いましたが、それすらも純三には重圧になると気付き「大丈夫」という言葉だけを繰り返すようになる。そんな過程は僕の頭の中で康雄と純三が繰り広げた展開そのものでした。
そして、立ち直らせようとしても純三には感覚が全く無かったとき、困ったのは康雄だけでなく、僕自身も困り果てました。その前に「枕営業」の件があって良かったと思ったのは康雄だけではありません。
と、ここまでは全て康雄側の視点で話を書いていたのですが、「強 姦」の話については、康雄は現場に居合わせず、後に純三から聞いて知る出来事でしかなかったために、何が起こったのかをちゃんと書くには純三側の視点が欲しいなあと思うようになりました。
そこで、冗長になるのは覚悟の上で、全ての話について純三側の視点の話を追加しました。
実際に「強 姦」の被害にあった話は、純三視点でしか登場しません。
その他の話では康雄と純三のやり取りになるので、同じ出来事に対峙する康雄と純三がお互いに同じことを思っていることもあれば、全く別のことを考えながらも事が進んで行くというところもある。そんな感じになっています。
冗長ではありますが康雄と純三の感覚の違いがちゃんと表せていたら良いなと思いながら書きました。
純三側の視点でも話が書けるようになると、康雄が直接絡まない話が書けるようになります。「嫉妬」の章はここまで来てやっと書けるようになった話です。
純三の成長を表したような話にしたくて、行為を強要されるという同じ状況に対して「強 姦」のときとは違い、自力で対処することができるようになった純三を書きました。康雄視点においても純三に語らせる必要は無かったので、戸部からの伝聞という形を取りました。
その結果、全体の話の中では若干毛色の違う、外伝的な話に仕上がったのではないかと思います。
その後、何回も読み直して修正を繰り返したのですが、タイトルでどうしようかかなり悩みました。
最初は「枕営業」でその次も「課外授業」、「狼男」と性的描写を中心に書いていた話が「愛している」で急にシリアス路線になり、「強 姦」でシリアス路線が強化されました。
「嫉妬」でも結果的に康雄と純三の深い絆を強調することになり、全体的には性的描写よりも心の結び付きの方が目立つ話になったような気がしました。
それで浮かんだタイトルが「純愛」なんですが、逆に「純愛」というタイトルにこの話が相応しいのかと考えると若干自信がありません。そこでこのタイトルに はもう一つの意味を込めています。それは「純三、愛してる」の略形で「純愛」ということです。ダブルミーニングにすることでなんとか自分を納得させています。
2018-03-06(火)追記:
新フォーマットでPDFは203Pになりました。また、EPUB3,mobi,HTMLも同梱しました。お好みのフォーマットでお楽しみください。
また同時に、誤字修正、ルビ強化、改行調整を行っています。